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建通新聞社(神奈川)
2013/09/20

【神奈川】リニア準備書公表で鉄道アクセスに注目 JR相模線複線化は13年度末に「輸送路改善プログラム」 小田急多摩線の延も実効性ある計画策定へ

 リニア中央新幹線(東京−名古屋間)の環境影響評価(アセスメント)準備書がJR東海から公表され、神奈川県内への経済効果などに期待が高まる中、神奈川県は、リニア県内駅(橋本駅付近、相模原市の県立相原高校移転後の用地を予定)への鉄道アクセス改善について見通しを示した。JR相模線の複線化については、2013年度末に、「輸送路改善のプログラム」をまとめる予定。小田急多摩線の延伸についても、同時期に地元市が実効性のある計画案を策定するとしている。
 JR相模線は、茅ケ崎市の茅ケ崎駅と相模原市緑区の橋本駅を結ぶ。路線総延長は33・3`で18駅がある。全線が単線。リニア駅と接続する橋本駅への輸送力増強のために、地元自治体などが複線化を要望しているが、JR東日本は、膨大な費用がかかることから、「需要動向を見極めつつ検討する長期的な課題」との認識を示している。
 県は、北のゲート≠フ核として、リニア県内駅が設置される橋本駅周辺の整備を推進。また、南のゲート≠フ核として、東海道新幹線の新駅設置を構想する倉見駅周辺の整備を促進する考え。これら、リニア関連のほか、さがみロボット特区への新たな産業集積を図る目的などから、輸送力の強化が重要課題と考えており、沿線の市町と共同で、輸送力改善につながる方策を体系的にまとめたプログラムを本年度末に策定するとしている。今後は、このプログラムを基に、県と沿線市町が連携して具体策を進めるとともに、JR東日本などへの要望活動を強化する。
 一方、小田急多摩線延伸は、小田急多摩線を唐木田から相模原駅を経由して上溝まで延伸させる計画。JR横浜線とも接続し、リニア県内駅へのアクセス向上にもなる。
 国の「東京圏における高速鉄道に関する基本計画」では、「今後、整備について検討すべき路線」に位置付けられている。県は、県内市町村などと構成する「神奈川県鉄道輸送力増強促進会議」を通じて、小田急電鉄に対して実現を要望しているところ。
 また、相模原市と東京都町田市は、共同で延伸の実現に向けた検討を進めており、12年7月には学識経験者などを加えた新たな研究会を設置した。ここで、本年度末をめどに沿線のまちづくりと連携した実効性のある計画をまとめる予定だ。
 県は、この研究会にオブザーバーとして参加。実現に向けた両市の検討を支援する。国に対しては、さまざまな機会を捉えて、地域の熱意や研究会の成果を伝えるなどの方策で、次期計画への位置付けを強く働き掛けていきたいとしている。