建通新聞社四国
2013/09/20
【徳島】主塔内桁橋を優位に
西日本高速道路は13日、四国横断自動車道吉野川渡河部の橋梁形式について、鳥類の飛行経路を妨げない主塔やケーブルのない桁橋を上部工として優位とする道路構造検討方針案を第1回環境部会(部会長・中野晋徳島大学院教授)で示し、了承された。また、下部工については、河口干潟や希少生物などに配慮し、浚渫規模と地形変化量が少なくなるようある程度橋脚数を抑えた案を優位とした。10月開催の橋梁部会(部会長・成行義文徳島大学院教授)で同方針を踏まえ具体的に協議し、年度末までに橋梁形式の選定を目指す考え。
部会では、先行事例として阿波しらさぎ大橋の環境保全対策を参考にしながら、橋梁形式検討に影響する環境要素を「地形・底質」「日照阻害」「植物、動物、生態系」に設定。施工時の河床の浚渫による地形改変、橋脚による流況変化に伴う橋脚周辺部と河口干潟の地形変化、上部工による鳥類の経路・高度の変化、ルイスハンミョウや鳥類のねぐらへの影響―を環境上のポイントとして渡河部の橋梁形式を検討することとした。
示された形式は、スパン長が125bを超える上部工から施工時の浚渫が発生するという観点で、80b〜125bのコンクリート桁橋、125b〜250bの鋼製桁橋、280bのエクストラドーズド橋、500bの斜張橋の4タイプ。コンクリート桁橋については、上部工時の浚渫はないものの、橋脚数が多いため下部工時の浚渫による環境負荷や流況への影響が予想される。また斜張橋は下部工時の浚渫による環境負荷や流況は少ないものの、上部工時の浚渫による環境負荷や計画高水位から122bの高さを有する主塔、ケーブルなどがあり、橋梁近くのねぐらから餌場を行き来する鳥類の飛翔を阻害することが予想されるとした。
この結果、浚渫規模と地形変化量が少なく、主塔・ケーブルのない桁橋を優位とする道路構造方針を固めた。次回の橋梁部会では浚渫量や浚渫面積、流況解析による地形変化量、主塔・ケーブルの規模などを定量的に算出するなどして橋梁の形式を具体的に協議する。