日本工業経済新聞社(群馬)
2013/09/04
【群馬】唯一の危険物積載車両通行可能道路として期待
国土交通省高崎河川国道事務所がみなかみ町永井〜新潟県湯沢町三国で整備を計画している国道17号・新三国トンネルの坑口部改良工事に着手するにあたり、8日に現地で起工式が執り行われる。既存トンネルは老朽化が進行していることに加え、覆工の増厚補修により内空断面が縮小し、大型車のすれ違いが困難な状況となっている。新三国トンネルの整備は、既存トンネルが抱える課題の解消だけでなく、関東〜日本海側間のつながりや安定した物流基盤の強化などが図られ、期待が集まっている。
現在の三国トンネルは1957年12月完成、59年6月の供用開始で、完成から56年が経とうとしている。酸性湧水によるトンネル覆工の劣化などに対処するため、昭和40年代後半にかけて覆工を補強することで漏水対策を図ってきた。補修工事を繰り返したことにより、完成時にW6mだった幅員は、W5・5mへと狭くなり、大型車の通行には非常に危険が伴う。
本県と新潟県を結ぶトンネルは国道17号・三国トンネルと、関越自動車道・関越トンネルの2つがあり相互で機能補完し合っている。交通量は関越トンネルの方が多いが、三国トンネルは関越トンネルが通行止めになった際の代替路線として機能するだけでなく、道路法の規定によりガソリンなどを積んだ危険物積載車両は関越トンネルを通行することができないことから、危険物積載車両にとっては国道17号・三国トンネルが本県と新潟県境を往来できる唯一の通行可能道路となっている。物流や住民生活にも不可欠で、関東と日本海側を結ぶ重要な幹線道路でもあり、温泉やスキー場などの観光施設を訪れるためのアクセス道路としての役割も担っている。
2010年度の道路交通センサスによると、三国トンネルにおける1日あたりの交通量は約1600台、大型車混入率は29・1%となっている。危険物積載車両の交通量は10年度実測値で1日あたり約30台。
新三国トンネルは、現在のトンネルの南西部に延長約1・2qで建設する。坑口部改良工事では群馬県側で工事用道路工、新潟県側では法面整形工や法面吹付工、アンカー工などを進めていく。