建通新聞社(神奈川)
2013/08/30
【神奈川】URニュータウン用地 「個別ニーズ踏まえ販売」〜ゼネコンとの連携強化策も試行
UR都市機構は、ニュータウン用地(大規模用地など)の供給・処分に向けた取り組みの一つとして、民間事業者の個別ニーズを踏まえ、協議などを行った上で販売・賃貸する「進出条件提案方式募集」を制度化した。さらに、同募集で申し込みがなかった場合は「先着順募集」に移行するが、その際、民間建設会社(ゼネコン)が仲立ちとなって、事業者に代わってURと協議する新たな制度も今後試行的に実施する。URによると、事業者(購入希望者)の検討の熟度が整っていない場合でも、「(優良物件を)早い段階で進出候補地の一つにできる」のがメリットだという。
進出条件提案方式は、大規模な事業用地で、購入希望者の要望を聞きながらURが画地分割条件などを定め、販売する制度(事業借地も可能)。
おおむね1カ月程度を「立地検討者募集期間」とし、申し込みがあった場合はその立地検討者と公募条件などを調整。通常の公募入札(立地検討者以外も申し込みが可能)を経て契約締結に至る。
一方、申し込みがなかった場合は先着順での「優先協議者」受け付けに移行し、事実上の相対取引となる。優先協議者には一定期間(4カ月程度)の優先協議権が付与され、その期間中、十分に検討を進めることができるのがメリット。
なお、一定期間の経過後は、第2順位協議者(優先協議者決定後の申し込み者)に権利が移る。第2順位協議者がいなかった場合は、申し出によって優先協議者が協議期間を延長することも可能。
〜ゼネコンとの連携強化による販売促進〜
さらにURでは、これに関連した新たな制度を実施する。
進出条件提案方式で先着募集に移行した後、ゼネコンが事業者に代わって優先協議者となり、協議が整い次第、ゼネコンから事業者に優先協議者の地位を継承するもの。首都圏ニュータウン本部の一部地区で試行を予定している。
新制度は、例えば工場や倉庫事業者などが新たな進出事業用地を探す場合に、銀行からの融資など、さまざまな条件が整う前に、施工を請け負う予定の建設会社が仲立ちとなり、代わりに協議を進める仕組み。優良な事業用地をいち早く押さえておきたい事業者にとっては大きなメリットがある。URとゼネコンとの協議・意見交換は3カ月間を一端の区切りとする。
新制度の本格導入についてURでは、進出企業のニーズとマッチしているかなど、「試行結果を踏まえ、今後の対応を決めたい」と話している。
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URのニュータウン用地の残販売面積は、2004年7月のUR発足時に5900fあった。
処分実績の推移を見ると、第1期中期目標期間(04年7月のUR発足時〜08年度)に2600fを供給・処分。さらに、第2期中期目標期間(09〜13年度)のうち、09〜12年度までの実績は1170fで、リーマンショックの影響により、第1期と比べてやや少ない状況だった。だが、12年度単年度の実績は約400fと前年度比プラス約50%にまで回復した。