日本工業経済新聞社(茨城)
2013/08/24
【茨城】県営繕課 県北特別支援校プロポ講評 ユニット配置や切妻屋根、意欲的
県土木部営繕課は、常陸太田市立瑞竜小学校跡(瑞竜町)に新設する(仮)県北地区特別支援学校で、プロポーザルの審査報告書をまとめた。そのうち最優秀案となった且O上建築事務所(水戸市)・眼チ建築設計室(同)JVは、▽多目的教室を中心とした普通教室群からなるユニット配置、▽新校舎を切妻の大屋根とした意欲的な提案、▽具体的かつ実現性あるコスト縮減−が評価されている。
今回のプロポーザルは、コスト縮減などの一般的な課題に加え、独自課題として、児童・生徒の心身特性を踏まえた安全で使いやすい施設計画、校庭の桜木「瑞桜」を生かした配置・景観計画を求めた。
また、設計を委託した際に、設計チームとして担当部局や学校と連携して、業務に取り組む体制がとれるかについても審査した。
これらの課題に対する提案と設計チームの体制を比較検討しながら審査を進め、基本設計時における提案内容の変更の可能性も考慮し、最優秀案(設計候補者)を選定した。
県北地区特別支援学校は、新築棟(増築棟)がRC造3階延べ2800u程度、改修棟がRC造3階延べ2268uを想定。概算事業費は新築棟が外構も含め約8億4000万円、改修棟がバスローターリーも含め約1億2000万円。
来年3月下旬をめどに基本・実施設計をまとめた後、来年度から改修工事、増築工事などを行う。2015年4月1日から、既存校舎の改修部分を活用して小学部を先行開校させる。その後、16年4月1日から小中高が全面開校する。
最優秀案(三上建築事務所・眞建築設計室JV)の講評は次のとおり。
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平面計画においては、多目的教室を中心とした普通教室群で構成するユニットを配置することにより、数人から学年規模で実施される多様な学習活動への対応を可能としている。加えて、児童生徒が心の落ち着きを取り戻すための小さな空間が適宜配置されており、知的障害の児童の学習アクティビティに十分対応した内容となっている。
意匠・景観計画においては、瑞桜の南西側を開放し、桜木と校舎、その背後の山並との調和を図るため、新校舎を切妻の大屋根とした意欲的な提案であり、評価できる。
さらに、勾配屋根の採用、外断熱化による建物の長寿命化や、教室の光・熱環境の検討など、コスト縮減に具体的かつ実現性のある提案を行っている。
以上から、最優秀案の提案者は、特別支援学校建築に対する深い理解のもと独自の提案がされていると認められる。担当部局及び学校との十分な協議を経ながら、設計業務を遂行する能力が高いと判断したため、特別審査委員会として設計候補者に選定した。
なお、基本設計にあたっては、児童生徒の心身特性について、特に学校との十分な意見交換を行い、ディテールに細心の注意を払い設計する必要がある。