静岡県建設業審議会(会長・小川雄二郎富士常葉大学非常勤講師)の第9回会合が19日、県庁内で開かれ、県建設産業ビジョンに基づく方策の取り組み状況を審議した。
事務局の県側が、建設産業の活性化に向けた方策の実施状況として項目ごとに具体的な取り組みと評価を説明した。このうち、新分野セミナー開催、補助事業の活用、社会保険加入の調査・指導などの実施により、取り組みが「進展した」と評価したことを報告。小川会長は、「システムづくりが進んだことは評価するが、それが本来の活性化にどの程度結びついたかは継続して審議していかなくてはいけない」とした上で、答申から3年目となる来年8月に「災害対応、ビジネス経営体などテーマごとに、具体的に施策の効果、課題などでアイデアを出して建議する」ことを提案した。
審議会では、まず、県側が県内建設投資の減少、建設業の財務状況、若年齢層の就業者割合の減少など建設産業の現状と、2013年度の入札・契約制度の改善、再生支援事業のセミナー開催などの取り組みを説明。入札・契約制度の主な改善では、総合評価落札方式での登録基幹技能者の評価項目の追加や、低入札価格調査での契約しない基準価格の引き上げなどを実施している。
意見交換では、災害対応力の関係で静岡県建設業協会が災害対策基本法に基づく指定地方公共機関に指定されたことから「県建協の位置付けがはっきりしたことは良かった」(丹羽秀夫公認会計士)と評価する意見が出された。建設業界からは「地域の安全・安心を託された業界の責任を持つ者としては、その中心的立場にある企業に求められる装備が重すぎて、そういった企業からなくなる危険性がさらに増している。その問題の解決策がビジネス経営体に具体的に反映されると期待していた」(伊藤孝県建設業協会会長)との指摘があった。
また、今後生き残るべき建設業の概念としてビジョンに位置付けられたビジネス経営体については、「地域を支えるパートナーとして”地域を思う部分はどういう業者であるべきか”をはっきり打ち出して、その中心となる企業を軸にして今後のインフラ整備を考える形に」(伊藤孝県建設業協会会長)、「育てていく企業をもう少し際立たせていくことを、官主導でもやるべきではないか」(小杉昌弘やまと興業社長)などの意見が出た。
(2013/8/21)
建通新聞社 静岡支社