北海道建設新聞社
2013/08/02
【北海道】道内景気の回復感強まる−日銀など判断を相次ぎ上方修正
「日を追うごとに景気が良くなってきている」―。日銀札幌支店の曽我野秀彦支店長は、7月23日の金融経済概況発表の記者会見でこう述べ、景気回復の動きが広がりを持ちつつあるとの認識を示した。同支店はこの日、道内景気判断を「回復に向けた動きがみられ始めている」とし上方修正。およそ16年ぶりに「回復」の2文字を用いた。
北海道経済産業局は7月の管内経済概況判断を、前月までの「持ち直しの動き」から「持ち直しの動きが続いている」に上方修正した。上方修正は3カ月ぶり。北海道財務局も管内経済情勢報告の中で、4―6月期の景気判断を「緩やかに持ち直している」とし、4期ぶりとなる上方修正をした。
相次ぐ上方修正は、公共投資の増加や住宅建築など民間投資の底堅さ、個人消費の回復を背景とする。
公共投資判断の根拠となる道内の公共工事請負金額は、5、6月と続けて前年同月比40%超の伸びを示し、今後も増加が見込まれる。新設住宅着工は貸家が伸びを欠いているものの、持ち家、分譲マンションは総じて増加傾向にある。個人消費は、以前から指摘されている宝飾品、高級外車などの高額商品に加え、衣料品や身の回り品といった一般商品の売れ行きも増えつつある。
ただ、景気回復に向けては依然として不安要素も残っている。北洋銀行が実施した企業経営者の意識調査では、各企業の売り上げ価格DIはプラス水準にある一方、利益DIはマイナス水準にあることが分かり、多くの企業が原材料価格の上昇分を価格に転嫁できていない実態が浮かび上がっている。
企業に利益が行き渡っていないことから、労働者の賃金はまだ上昇局面にない。賃上げが景気回復の一つの目安になるとの見方が強いものの、その時期についての明確な見通しは今のところない。
道内景気の回復感が強まっている。日銀札幌支店、北海道経済産業局、北海道財務局の各機関がこのところの景気判断を相次ぎ上方修正し、先行きについても改善に向けた動きが続くと予測する。先の参院選で自民党が圧勝し、アベノミクスに基づく各種の経済政策が動きだそうとする中、道内にどの程度の効果が及ぶのか注目される。