日本工業経済新聞社(群馬)
2013/07/31
【群馬】群馬県東部水道広域化事業の基本構想策定
太田市、館林市、みどり市、板倉町、明和町、千代田町、大泉町、邑楽町の3市5町で構成している群馬県東部水道研究会は、県内初となる上水道事業広域化に向けた基本構想をまとめ、明らかにした。構想の中では、水道施設と経営の中長期的な分析や管理体制の課題、広域化の目標、基本方針などを策定。2015年度から24年度までの10年間を中期的な計画期間と定め、統合に伴う配水区域などの再構築に係わる施設整備事業費に約65億、老朽化した水道施設の更新事業費に241億円、計300億円超を試算。国庫補助の採択を目指している15年度から既存施設の改良工事などに着手する。
群馬県東部水道広域化事業は、県東部地域の3市5町を構成団体として水道事業を統合、広域化し市町の行政区域を越えた効率的な地域設定を行うもので、県内では初の試み。人口減少で収入が少なくなる一方で、高度経済成長期に建設された浄水場などの更新に大きな投資が必要となっており、その対策として浄水場の統廃合による施設整備費の削減や人材を含む組織面での基盤を強化することを目的としている。
基本構想では、国の国庫補助の認可期間である2015年度から24年度までの10年間を中期期間、24年度から50年度までの27年間を長期期間として設定。課題としては水道施設と経営関連では人口減少による給水量の低下や過剰な浄水能力・施設の老朽化などによる事業費の拡大などを、管理体制関連では構成団体間の管理水準やサービス水準の格差などをあげている。
これらの課題を受けて施設整備の基本方針として標高が高い位置にある水源や施設を有効活用して行政区域を越えた標高の低い位置への配水、水源・浄水場の相互融通体制の構築、施設の統廃合による更新事業の削減などを進めていく。
また、構成団体における老朽化による既存施設の更新を除いた中長期的な施設整備方針としては−◇みどり市では鹿田山配水池で新田山田水道を受水するための整備や、塩原浄水場の余力を太田市へ供給するための整備など◇太田市では西長岡・強戸配水区域への配水を薮塚方面からの自然流下による供給への切り替え、渡良瀬浄水場系の余力を活用した邑楽町中野浄水場へ送水するための整備など◇大泉町では第一浄配水場と第二浄配水場との相互専用連絡管の整備など◇邑楽町では中野浄水場の太田市渡良瀬系からの供給切り替え、中野浄水場系と第三浄水場系との相互連絡管整備など◇千代田町では第一浄水場および第三浄水場の廃止、大泉町の第二浄配水場からの配水など◇館林市では、第二浄配水場の余力を明和町と千代田町に、第三浄配水場の余力を明和町に配水するための整備など◇明和町では、大輪浄水場、上江黒浄水場の廃止とそれによる館林市からの配水管整備など◇板倉町では長期計画のなかで隣接する構成団体からと東部地域水道からの供給への全面的な切り替えなど−を推進するとしている。
広域化による施設整備の事業費では、@広域化に伴う水道施設の構築に係わる施設整備A老朽化した水道施設の更新−の2つを試算しており、15年度から24年度までの中期計画では再構築に係わる施設整備で約65億円、老朽化した施設の更新に241億円を、24年度から50年度までの長期的計画では再構築に係わる施設整備で約40億円、施設の更新に約1318億円をそれぞれ試算。
今後は、本年度9月に国庫補助申請に充足するレベルまでの積算等を定めた基本計画を策定し、10月には水道事業統合基本協定の締結や同事業統合協議会の設置などを予定している。国庫補助申請についても本年度10月に申請を開始、14年度中に採択を目指し統合事業団の設立を予定している16年度に先立ち、15年度から既存施設の改良工事などに着手したい考えだ。