建通新聞社
2013/07/31
【大阪】南海トラフで機能保持できず 府内8カ所
南海トラフ巨大地震土木構造物耐震対策検討部会(部会長・井合進京都大学防災研究所教授)の第3回会合が7月26日に開かれ、南海トラフ地震動(マグニチュード(M)9クラス)に対する土木構造物の詳細点検結果が報告された。海岸構造物のうち防潮堤などの海岸保全施設については、松屋三宝、堺新港、堺旧港など8カ所で南海トラフの地震動に対し、防潮堤の機能を保持できなくなることが分かった。
海岸構造物は、阪南港海岸などの防潮堤10カ所(護岸タイプ6カ所、堤防タイプ3カ所、自立式矢板タイプ1カ所)と水門2カ所を対象に詳細点検を実施。チャート式耐震診断システムで危険性の高い施設を抽出し、動的有効応力解析により耐震性能を照査した。
防潮堤については、10カ所中、大津南、岸和田の2カ所を除き、構造物背面と底面の液状化に伴い、防潮堤幅を大きく上回る水平変位が発生するため、松屋三宝、堺新港、堺旧港、出島石津、浜寺、泉大津、下瓦屋、岡田漁港の8カ所では、防潮堤としての機能を保持できないと報告された。
このほかの構造物では、河川構造物の神崎川(護岸鋼矢板、防潮堤鋼矢板)と尻無川(防潮堤RC杭)について、地震による変位で防潮堤・護岸の天端が津波高を下回るNG判定となった。
河川水門では、尻無川水門のガイドアーチ支柱基部とリーマボルトの耐震対策が必要と判定された。
今後は、より現実的なM8クラスの地震・津波に対する検証も進めながら、対策箇所の抽出や優先順位などを検討。8月末までに主要構造物の対応策についての基本的な考え方をまとめた上で、府所管施設については、年内に地震防災アクションプログラムを見直し、順次、対策事業を実施していく。