建通新聞社
2013/07/11
【大阪】社会保険未加入「不適切な元請けに罰則を」
国土交通省近畿地方整備局と建設産業専門団体連合会(建専連、才賀清二郎会長)との意見交換会が7月9日に大阪市内で開かれた。社会保険未加入対策について建専連は、官庁工事だけでなく民間工事での指導強化を要請。立ち入り調査を強化するほか、社会保険未加入者を現場に入場させるなど不適切行為を行ったゼネコンに対し、指導ではなくペナルティーを与えるよう強く求めた。
冒頭に才賀会長は「設計労務単価の大幅な引き上げもあり、建設業界に明るい兆しが見えてきた。しかし、専門工事業で働く職人に新単価で賃金が支払われるのは3カ月遅れであり、民間工事に浸透する時期は不透明な状況だ。われわれも安値受注は絶対にしないという強い決意を持って取り組むため、発注者側もこれらの課題解決に努めてほしい」とあいさつ。
近畿地方整備局の谷本光司局長は、「建設業界が直面している課題は、次代を担う若者の確保と高い技術力の伝承。若者が適正な賃金を受け取りながら、希望と誇りを持って働ける環境づくりを急がなくてはいけない。新しい設計労務単価については設計に組み込むだけでなく、末端の労働者の賃金にもしっかり反映されているかどうかを検証していく」と述べた。
建専連は▽社会保険未加入対策▽登録基幹技能者の積極的な活用・評価▽請負代金の適正支払い▽標準見積書の活用▽維持管理工事発注方法の改善▽塗装が主たる塗装工事の塗装専門工事業者への発注▽公共工事(塗装塗り替え工事)の大型化是正−の7テーマについて要望・提案を示した。
近畿建設軀体工業協同組合の岡本征夫理事は、社会保険未加入対策を民間の建築工事に浸透させることと併せて、違反した元請けに対しては何かしらの罰則を設けなくては効果がないと強調。
同局は「当面は周知徹底に努め、2017年度以降は全現場の職人が保険加入している状況に持っていきたい」と回答したが、近畿建専連の北浦年一会長は「保険未加入の職人は排除されるのに、その職人を現場に入れた元請けに罰則がないのはおかしい」とした。
また、関西鉄筋工業協同組合の岩田正吾理事長は、「社会保険未加入対策には、法定福利費が建設労働者に確実にわたる仕組みの構築が必要であり、調査基準価格における一般管理費の引き上げ分が下に流れる仕組みや、専門工事業団体が作成する標準見積書の尊重が不可欠」と述べ、発注者・設計者・ゼネコン・サブコンが一堂に会して議論し、理解を深める場を設けてほしいと要望。
同局は「まずは7月16日に開く、発注者・建設業者向けの社会保険未加入対策などの説明会を初弾とし、府県とも連携しながら周知徹底の機会をつくる」と説明した。