建通新聞社(中部)
2013/06/25
【愛知】名港管理 築地・ガーデン埠頭の土質調査着手
名古屋港管理組合は、築地・ガーデン埠頭(名古屋市港区)の防潮壁の液状化対策に向けて、地質調査を開始した。今回の調査を踏まえて、大規模地震に備えた対策手法を検討する。予算が得られれば、2013年度中に工事に向けた設計も委託したい考え。
今回調査を行うのは、名古屋港の最奥部にある築地・ガーデン埠頭。港区西倉町と同入船にある防潮壁が対象となる。対象となる防潮壁の総延長は約630b。調査は指名競争入札で青葉工業名古屋支店(名古屋市北区)に3087万円で委託した。
西倉町の防潮壁は延長約210bで、両端の2地点で磁気探査と土質調査を行う。入船の防潮壁は延長約420b。4地点で磁気探査と土質調査を行うほか、地盤の力学的な挙動を調査するPS検層を実施する。
築地・ガーデン埠頭のほか、昭和埠頭(防潮壁延長約230b)、潮見埠頭(同464b)などでも13年度に土質調査を委託する方針だ。
土質調査後の液状化対策設計業務は、国庫補助を受けて委託する。予算の動向にもよるが、可能であれば、13年度中に設計委託までは進みたいとしている。
近年、東海・東南海域で発生が予測される大規模地震について、国や愛知県などが、想定地震動や津波高に関するデータを精査している。液状化対策の検討に際しては、最新の知見を想定外力に反映する方針だ。液状化による地盤の沈下後、高潮が発生しても越水しないことを目標とする。具体的な手法としては、基礎地盤の固化処理や防潮壁の嵩上げなどが考えられる。名古屋港の防潮壁には、近接して住宅地がある区間も多いため、場所に応じて、震動や周辺環境に配慮した工法を選択する必要がある。
防潮壁は、伊勢湾台風の発災後に整備したため、区間によっては整備後50年ほどが経過している。名港管理は、愛知県が策定した「三河湾・伊勢湾沿岸海岸保全基本計画」を踏まえ、地盤高や背後地の立地状況などを考慮して、名古屋港の防潮ラインのうち約4・4`を要対策地区に指定。これまでに約700bの区間で液状化対策を進めてきた。
愛知県は、海岸保全基本計画について、内閣府が12年度に発表した南海トラフ巨大地震の想定なども踏まえ、必要に応じて想定外力を見直すことも検討。名港管理は、こうした動向も踏まえて最適な対策を実施したいとしている。