建通新聞社四国
2013/06/21
【高知】三重防護で津波被害軽減
国土交通省四国地方整備局と高知県は、高知港における地震津波防護の対策方針案を取りまとめた。高知港のハード対策では、高知新港の防波堤、浦戸湾外縁部・湾口部の防波堤や防潮堤、浦戸湾内部護岸の耐震補強などの三つのラインで津波から防護する「三重防護」により被害を軽減する方針を立てた。このうち国交省高知港湾・空港整備事務所では、2013年度より事業着手し、今後10年程度で約150億円かけ、最前線の防護ラインとなる高知新港の防波堤の延伸と粘り強い構造への補強を推進する。
高知新港では、三里地区東第一防波堤延伸の基本設計と東第一防波堤と南防波堤の津波対策検討業務を、それぞれ高松港湾空港技術調査事務所から簡易公募型プロポーザル方式で7月中に公告し、13年度末には一部で初弾工事に着手する予定。
粘り強い構造を進める防波堤は、東第一防波堤の現計画の延長900bから200b延伸させた延長1100bと南防波堤の延長1000b、桂浜防波堤の延長737bが対象となる。
主な工法として検討しているのは、津波による外力と越流による基礎マウンド(捨石)の洗掘によりケーソンが動くのを防止するため、港内側の基礎マウンドを嵩上げ・拡幅し、その上に被覆ブロックを敷き詰める。被覆ブロックは既設のものを流用することもあるが、既設より大きなブロックを使用する可能性もある。またケーソンの港外側には、上部にパラペットを設置することも検討する。
東第一防波堤では延伸を先行整備し、南防波堤では、粘り強い構造への補強を進める。桂浜防波堤の着手時期は未定。
浦戸湾外縁部・湾口部の防波堤と防潮堤の耐震補強などによる津波の浸入・北上の抑制に向けた整備と浦戸湾内部護岸などの耐震補強などによる護岸倒壊・背後地浸水の防止については、今後、国と県が協議し、どういった対策を進めるのかを決める。
四国地方整備局と高知県では、この方針案に基づき、必要な対策を推進するため、最大クラスの津波の来襲も想定しつつ、発生頻度の高い津波に対し港湾、背後地を効率的・効果的に防護するための対策について、13年度に委員会を立ち上げ、具体化に向けた検討を進める。