建通新聞社(神奈川)
2013/06/17
【神奈川】「横浜駅周辺の将来像。JRは駅ビル計画縮小。公共インフラ整備、西口側治水対策や東口側公共交通広場再編検討などが明らかに
横浜市は6月14日、横浜市内のホテルで第4回「エキサイトよこはま22懇談会」(座長・鈴木伸哉横浜市副市長)を開き、2012年度に改定した横浜駅周辺のまちづくりガイドラインや、時間降雨量82_に対応する外水対策(河川改修)と74_への内水対策(下水排水能力向上)、東口の駅前広場やバス・タクシーターミナルなどの公共交通広場の再編など基盤整備計画の検討状況を説明した。また、駅周辺で想定されている民間開発事業について、事業を推進するための補助や規制緩和策などの制度を説明。鉄道事業者や駅周辺の民間事業者らと意見を交換した。
横浜駅周辺地区で想定されている開発事業は▽横浜駅きた西口鶴屋地区▽横浜駅西口駅ビル計画▽新相鉄ビル(高島屋・ジョイナス)▽横浜駅西口(幸栄地区)▽横浜駅西口五番街地区 ▽横浜駅東口地区開発(ステーションオアシス)▽相鉄ムービル―などがある=図=。
このうちリーディングプロジェクトとして位置付けられているJR東日本と東急電鉄の駅ビル計画は、今秋をめどに計画を見直し、約8年間での完成を目指し着工する=民間版に関連記事掲載=。その他の開発はいずれも具体化に向けた検討の段階。市は、「横浜都心・臨海地域」が12年1月に特定都市再生緊急整備地域に指定されたことによる税制優遇措置や、下水の未利用エネルギーの活用、都市計画道路をまたいで建築物をつくることを可能にする規制緩和策などを紹介し、活用を呼び掛けた。
公共のインフラ整備で横浜市は、治水の安全度向上のため、外水対策として50年に一度の大雨(時間降雨量82_)に対応する市の鶴屋橋架け替えと県の帷子川河口部改修事業を紹介。将来は100年に一度の降雨として想定する93_に対応すると説明。
内水対策は、30年に一度の大雨(時間降雨量74_)に対応する下水整備を西口センターゾーンで概ね10年で先行し、次いで近隣地区に事業範囲を拡大。将来は、50年に一度の降雨量(82_)に対応する整備計画案を説明した。
東口側については、公共交通広場の再編を検討する方針を明らかにした。横浜駅の玄関口である駅前広場を改善し歩行空間を確保する。再編の対象は、国道1号下のタクシー乗り場やスカイビル・そごう地下のバスターミナルを含む。横浜中央郵便局や崎陽軒ビル周辺の民間開発「ステーションオアシス」や駅前広場再編の前提となる出島地区の整備も、街区計画に取り込みたい考え。
これらの説明に対し、委員からは”整備の時間軸”の共有化や、公共側と民間の街区開発側との合意形成が重要との意見や要望が相次いだ。また、街区の基盤整備を「市が全て担ってほしい」(鳥居眞横浜駅西口振興協議会会長)との声もあり、事業化の困難さがうかがえた。
会議の冒頭、あいさつに立った鈴木副市長は「民間開発とインフラ整備をどう一体的に進めるか」、スピード感のあるまちづくりに向け、市が推進役となり全力で取り組むことを宣言。
意見交換の後、平原敏英都市整備局長が「市でインフラと街区開発の具体的な整備計画をまとめ、みなさんと共有し、駅ビルに続く事業計画が立ち上がるよう取り組む。13年度を『ダイナミックな動きと具体的な動きをみんなで実感できる年』にしたい」と締めくくった。