トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

日本工業経済新聞社(群馬)
2013/06/13

【群馬】高崎市は国指定史跡箕輪城跡で2つの城門を復元

 高崎市は、箕郷町東明屋・西明屋地内にある国指定史跡箕輪城跡の2つの城門を16世紀末の戦国時代末期の姿に復元する事業に着手する。復元案は、文化庁の諮問機関である「復元検討委員会」でことし3月に承認されている。市は6月補正予算案に設計費を計上しており、可決後に実施設計に入る。順調に推移すれば来年度から工事に着手し、5カ年で復元工事を進めていく。総事業費には約2億5000万円を見込んでいる。

 復元する城門は「郭馬出西虎口門(櫓門)」と「本丸西虎口門(高麗門)の2つの木造城門。城中枢部で発掘調査した7カ所の門のうち、特にこの2門の門柱の礎石がすべて良好に残っていたため復元する。門の礎石がすべて残存していたため、その配置を元に全国に現存する城門や城絵図を分析して上部構造の考証を進めてきた。両門ともに城最終時期の井伊直政時代(1590〜1598年)に使われていたもので、400年以上の時を経て往時の姿が復元されることとなる。国指定史跡における建造物復元は、その根拠が明確でないと文化庁の許可が下りず、特に現存する城門や城絵図が少ない戦国時代の城郭は極めて限られている。
 郭馬出西虎口門は、幅5・7m、奥行3・6m、高さ6・3mの2階建てとなる。戦国時代の関東地方の城郭で規模が確認されている門跡では最大規模。国史跡の戦国時代の城門復元は全国で6例目で、その中でも最大規模の復元となる。南側から登城する3本の道がこの門に集約されるため、防御上極めて重要であり箕輪城を象徴する荘厳な門となる。2002年度の発掘調査で礎石8個がすべて残っていることが確認されている。
 本丸西虎口門は、幅3・1m、奥行1・7m、高さ3・9mの1階建て。箕輪城本丸で唯一の木造橋をわたって到達し、城主をはじめとする限られた人々が用いるなど格式が高い門となる。03・04年度に発掘調査を行っており、礎石4個がすべて残っていることが確認された。
 6月補正予算案には設計費1181万1000円を盛り込んでおり、実施設計に着手する。門復元の基本設計はウッドサークル(東京都中央区)が手がけており、実施設計も同社が担当することとなりそうだ。工事は14年度から18年度までの5カ年で計画、可能な限り当時のまま復元する。郭馬出西虎口門から整備を進めていく。