建通新聞社四国
2013/06/10
【高知】南海トラフ2期計画、183の取組
高知県は、南海トラフ地震対策に向けた第2期行動計画案をまとめた。期間は2015年度までの3カ年で、取り組み別に13、14、15の各年度別とそれ以降の具体的な計画スケジュールを立てており、この期間に発災直後から応急期にかけての対策をおおむね完了できるようにする。この中で15年度末までに、避難対策として避難場所1354カ所、避難タワー106カ所の整備や、河川・海岸の津波対策の推進、緊急輸送を確保するための道路、橋梁、法面、防災拠点港・漁港の耐震化に向けた行動など183の取り組みを進める。
第2期行動計画は、183の具体的な取り組みを、南海トラフ地震に備える上で重要となる四つの視点に分類し、その中に13の重点課題、29の施策のテーマを設ける。
視点1は、震災に強い人づくりのために県民みんなで南海トラフ地震に備えることとして、県民みんなが「正しく恐れ」確実に行動するための情報提供・防災訓練と防災人材の育成についての取り組みを挙げている。
視点2は、被害を軽減するために発生時の被害を最小化することを挙げている。この中で、揺れに備えるための建築物耐震化の取り組みでは、既存住宅、県・市町村有建築物、学校等、医療施設・社会福祉施設、事業者施設の耐震化の促進やライフラインの地震対策の推進についての計画を定めている。
津波に備えるための避難対策では、津波避難路・避難場所の整備について、避難空間、避難タワー、津波避難シェルター、道路の避難階段、港湾避難場所整備などのほか、避難路・避難場所の安全確保、重要港湾の防波堤整備、海岸等の地震・津波対策の推進に向けての計画を定めている。
火災に備えるための津波火災への対策では、タナスカ地区など燃料タンクの安全対策の推進。地震による火災対策では、市街地における火災対策。土砂災害などに備えるための予防では、土砂災害対策、ダム等の耐震化、ため池の地震防災対策の推進についての計画を定めている。
視点3では、応急対策の速やかな実行のために救助・救出、救護活動を行い、被害の拡大を防ぐことを挙げている。この中で早期の救助救出と救護を行うため、総合防災拠点の整備、消防防災ヘリ航空隊基地移転整備、災害時の公共用地利用計画などのついての取り組みを示している。
被災者の支援を行うための取り組みでは、一時居住場所を確保するための応急仮設住宅や復旧資材の安定供給、二次被害を防止するための被災建築物や被災宅地の判定などについて示している。
輸送手段を確保するための取り組みでは、緊急輸送道路確保計画、港湾BCP策定・訓練、高知空港の早期機能復旧対策、橋梁の耐震化、法面防災対策、道路付属施設・橋梁の点検、道の駅防災拠点化、8の字ネットワーク早期整備、鉄道橋梁の耐震化、緊急通行訓練・信号機電源対策、防災拠点港整備、防災拠点漁港整備など緊急輸送の確保に向けた計画を定めている。
視点4では、着実な復旧・復興のために巨大災害から1日も早く立ち直ることを挙げている。住居を確保するための災害公営住宅建設計画、生活支援のための県・市町村災害廃棄物処理計画、建設業など事業者のBCP策定、地籍調査の推進などについての取り組みを示している。
県では、これらの取り組みにより、3年後には住宅耐震化率77%、津波早期避難率・津波避難空間100%を達成し、最大想定で死者4万2000人を1万1000人まで軽減させる。対策の状況については、PDCAサイクルの中で行動計画を順次見直す。