建通新聞社
2013/06/04
【大阪】美術館3館体制で事業費198億円 大阪市
「大阪市の美術館のあり方検討会」は5月30日、市立美術館(大阪市天王寺区)の本館を耐震改修した上で、レストランなどのサービス部門を兼ね備えた新棟「サービスWING」を建設し、近代美術館(中之島に計画中の新美術館)と市立東洋陶磁美術館(既存)とともに、3館体制として一体的に運用していくよう提言した。また、市立美術館の耐震改修と新棟建設、新美術館の建設にかかる事業費として計198億円を試算。市立美術館を閉鎖し新美術館に統合するよりも30億円近く費用を抑えることができるとした。
今後は、市の幹部会議で6月中に方針を決定。引き続き、新美術館の基本計画を策定するための検討業務を簡易プロポーザルで外注する。
投資コストについては、市立美術館を新美術館に統合した場合、223億〜226億円を想定。これに対して、新美術館を単独で建設(112億円)するとともに、市立美術館本館の耐震改修(65億円)、本館の横に建設するサービスWING(21億円)を加えても計198億円と見込まれ、統合するよりも低コストでサービス充実が実現できるとした。
新美術館と市立美術館の今後の工事では、設計・施工(デザイン・ビルド)コンペ方式を採用し、設計・施工からレストラン・カフェなどの企画運営に至るまでを民間に委ねる。
3館の特徴については▽市立美術館が「大阪の町衆が作りあげたコレクション」として、日本と東アジアの古美術▽新美術館が「大阪が育んだ作家のコレクション」として、大阪と世界の近現代美術▽東洋陶磁美術館が「大阪に集まったアジアの遺産」として、中国・朝鮮陶磁の至宝−を展示する案を示した。
新美術館の建設用地は大阪市北区中之島4丁目の敷地1万0600平方b。近代美術館として2014年度の着工を目指していたが、橋下徹市長が就任後に白紙となり、2月に新美術館を建設する方針を正式に決定している。
美術館の在り方をめぐっては、4月に、新美術館と市立美術館を併存する方向性が示され、これに基づき提言をまとめた。