建通新聞社
2013/06/03
【大阪】高齢化浮き彫り20代10%以下 大建協
土木現場の建設技能労働者のうち、20歳代の占める比率が初めて10%を切ったほか、平均年齢が土木45・9歳、建築42・3歳といずれも過去最高となるなど、深刻化する建設技能労働者の高齢化の実態が浮き彫りとなった。
大阪建設業協会労働委員会(前田隆志委員長)と同協会の自主研究会・大阪建設労務研究会が3年ごとにまとめている、建設工事の「職種及び年齢別人員構成調査(第6回)」報告書で分かったもので、近畿2府4県の279作業所1万5557人(2012年7月10日時点)を対象に、土木・建築現場で職種別年齢構成状況・比率の推移などを調べた。
対象者の内訳は、土木が102作業所の2910人(24職種)、建築が177作業所の1万2647人(30職種)。
土木で調査対象となった全労働者のうち、10〜20歳代は277人を占めたが、年齢別構成比率は9・5%で、1995年の第1回調査以来初めて10%を切った。
これに対して、建築は全労働者のうち、10〜20歳代が2011人(年齢別構成比率16・6%)を占め、土木より若干高い比率となった。
土木、建築ともに40〜49歳の割合が最も高く、以下、50〜59歳、10〜20歳代と続く状況は同じで、39歳以下の若年層の割合も2003年の第4回調査をピークに急速に減少。着実に高齢化が進んでいるようだ。
土木と建築の違いについては、平均年齢差はほとんどなかったが、内装工、設備工、電気工など土木にはない職種の平均年齢が若く、逆に土木にしかない特殊運転手などの平均年齢が高いことが判明した。
職種別では、躯体職の中でも土工、型枠大工の高齢化傾向が著しい。特に躯体職の中核的な職種で、高所での作業が避けられない型枠大工で60歳代の占める比率が20%近くに達した。左官や造作大工でも50歳以上の高齢層の比率が増え、20歳代の若年層が少なくなっており、「災害防止面、技術伝承面などから大いに危惧される事態」と分析する。
ただ、総務省統計局の労働力調査との比較では、全国の状況より、近畿圏の方が高齢化の進展度合いが緩やかであることも分かった。
前田委員長は「技能労働者の確保・育成に向け、一刻も早く手を打たなければならない。作業員あっての建設業。工事が増えても作業ができない事態が目前に迫っている。大建協としてもいろいろな方策を考えていく」と述べた。