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日本工業経済新聞社(茨城)
2013/05/17

【茨城】県港湾課 インタビュー 伊藤敦史県土木部港湾課長

 県内の港湾施設は震災で甚大な被害を受けたが、県では企業活動や市民活動を停滞させないよう、直後から早期復旧、復興に努めてきた。その結果、前年度末では39ある公共岸壁のうち、37岸壁が利用を再開。残る2岸壁(日立港区4−C、D)で復旧が進む。
 そんな中、「港湾の復旧無くしてインフラの完全復旧はあり得ない。本年度中に完全復旧させたい」と張り切る。陸海空の広域交通ネットワークの一翼を担う港湾整備を積極的に進めていきたい考え。
 入庁は1982年(昭和57年)。大学が建築学科だったこともあり、建築指導課からスタートした。以来、都市計画や道路、河川などの一般土木を幅広く経験。企画部、商工労働部にも籍をおいた。
 高速道路対策室補佐、県建設技術公社技術部長、土木部企画監を経て、ことし4月に港湾課長に登用された。
 懸命な復旧作業などもあり、前年度の取扱貨物量は茨城港と鹿島港を合わせて過去最高を記録。数字だけを見ると順調に回復しているように思われるが、実際には原油や石炭などの輸入が大きいという。
 「今後は、原油や石炭以外の貨物についても通常どおりに回復させ、本来の姿を取り戻すことが大切」と伊藤氏。残る復旧工事を早期に完成させたい考え。
 そして、本県の復興とさらなる発展に重要となるのが、企業進出をにらんだハード整備。
 茨城港常陸那珂港区で中央埠頭地区マイナス12m岸壁の埠頭用地の整備を推進するほか、日立港区では東京ガスが建設中のLNG基地に伴い浚渫土砂の受入、不足するモータプール確保に向けた第3埠頭地区の整備を推進する。鹿島港では外港公共埠頭が耐震
 強化岸壁として4月1日に供用した。
 「港湾へ企業が進出することで貨物量の増加だけでなく、雇用創出、税収増などが期待できる。また地元企業の受注機会の増加など地元産業の活性化にもつながる。今後も港湾整備を推進したい」。
 ポートセールスに力を注ぐほか、津波対策として背後地対策にも取り組んでいきたい考えだ。
     ◇     
 1958年(昭和33年)8月6日生まれの54歳。日立市在住で、妻と娘の3人家族。東北大学工学部建築学科卒。
 趣味はテニスと旅行。友人の勤務先の関係でバリ島、バンコク、クアラルンプールなどを旅した。
 モットーは『相手の話をよく聞く』。「相手のことを良く理解して物事を進めないとうまく行かないと思う」。