建通新聞社
2013/05/15
【大阪】大阪市がつり天井撤去へ 本年度中に方向性
公立学校の体育館や武道場にある「つり天井」について、原則撤去する方針を文部科学省が決めたことを受け、大阪市は、所管する学校施設全約460校について調査に着手し、2013年度中に対策方法などの方向性を固めたいとしている。また、大阪府ではつり天井の学校施設が数校しかないため、今後調査を進め、13年度中に撤去する方向だ。
大阪市内には小学校299校、中学校130校、高校23校、特別支援学校10校がある。現状では同市の大半の学校が体育館と講堂の機能を兼ねており、音響効果を上げるために、つり天井(二重天井)の構造をとっている。
担当課では「無いものは落ちない」として、基本的には撤去する方向を示しているが、「音響面などで必要な施設もある。全て撤去できるかどうか」とも認識。対応方法の検討を急ぎたいとした。
大阪府では公立学校全165校中、つり天井は数校しかないとしており、本年度中に撤去してしまう考えだ。
東日本大震災では天井の落下が約1640件あって、特に落下の危険性があるつり天井について、文科省が撤去費用を補助し、早急な対応を都道府県に促す方針。
現在の学校耐震化では、建物の躯体部分など構造部材の耐震化を先行しており、大阪市でも構造部材については95%以上の耐震化が完了。一方、非構造部材(つり天井含む)については耐震化率さえ把握できていないのが現状で、国立の教育機関が全国の小中学校体育館約700施設を調べたところ、半数が対策を講じていなかったという。
文科省では点検マニュアルの作成を進めており、安全が完全に確認できなければ撤去を求めるとしている。