静岡県は、三保松原周辺の消波ブロックについて景観に配慮した対策を検討していくとともに、実施可能な短期的対策として2013年度事業の海岸養浜工に加えて景観に配慮した養浜工を実施する方針だ。
富士山の世界文化遺産登録で、イコモスが「構成資産の一つである三保松原を除き世界遺産一覧表への記載が適当」と勧告した。これに対して、川勝平太県知事が「6月に開催される世界遺産委員会に向けて、三保松原を含めた登録がなされるよう万全を期していく」とコメントしている。
清水海岸については、これまでも景観保全対策を行ってきている。07年に設けた清水海岸侵食対策検討委員会で策定した計画を基に、@消波堤区間で侵食進行を抑制するためのサンドリサイクル養浜工Aヘッドランド区間で、浜幅の維持と砂浜些少区間の越波防護を図るための養浜工B離岸堤区間で、砂浜回復の進行を図るための養浜工−といった海岸侵食対策を実施してきている。
本年度も当初予算で清水海岸全体の養浜工約11万立方bを計画。このうち三保松原付近では、基幹的機能である防護効果を高めるためのサンドリサイクル養浜工約3万立方bを実施する予定となっている。今回、短期的対策として三保松原からの富士山の景観に配慮した対策工(養浜工)を追加して13年度内に実施することとした。東側に設置済みのブロックについての景観対策を、景観に関する専門家の意見も参考に清水海岸侵食対策検討委員会で議論するとともに、シミュレーションを行う。例えば、砂を入れてブロックを見えなくする、ブロックを嵩下げて違和感を少なくする−などの点から工法を考える。
また、抜本的な対策として中長期的な対策工法についても委員会で探っていく。海面に出ているブロックを海中に沈めても海岸侵食防止効果がある工法など、人工リーフのようなものとする形も考えられる。ただ、広さが拡大しコストが膨らむ、三保沖は水深が深い、漁場となっている−といった課題が挙げられている。
(2013/5/15)
建通新聞社 静岡支社