日本工業経済新聞社(群馬)
2013/05/14
【群馬】甘楽町の統合中学校設計は福島建築設計事務所
統合中学校の建設に向け、校舎や体育館、給食センター、食堂棟の基本・実施設計の委託業者選定で指名型プロポーザルを導入していた甘楽町は14日、福島建築設計事務所(前橋市)を特定し契約を交わしたことを明らかにした。今後、夏ごろをめどに基本設計をまとめあげ、その後2月末までに実施設計にとりかかる。また、設計と並行して関係者らで組織する建設検討委員会を立ち上げ、福島案をたたき台にして施設の詳細を練り上げていく。建設地では現在、埋蔵文化財調査を進めている段階で、6月までに完了となる見込み。完了後、建物設計と並行して敷地の造成工事を進めていく。順調なら2014年の夏ごろから建物建設工事に着手し、16年2月の竣工、3月に引っ越し作業を行い、4月に開校となる。
プロポーザルを実施するにあたり、町教委は8者を指名。このうち5者から提案を受けて、それぞれプレゼンテーションなどの審査を実施した。審査委員による投票などで2段階で選抜され、最終的に福島建築設計事務所案を特定し、「甘楽町新設統合中学校建築設計業務」を委託。契約金額は税抜き7700万円で期間は5月8日から来年2月28日までとなっている。
統合中学校の建設地は白倉地内にあるかんら保育園北側の敷地約4万3000uの高台。「上毛三山がすべて見渡せ、眺望は360度」と町教委は話す。周辺にはかんら保育園のほか、老人ホーム、陸上競技場、総合福祉センターなど多種多様な施設が立地しており、これらの施設との連携も図られそうだ。
建設地が高台であることから、風の影響を避けるとともに生徒らの利便性なども考慮し、校舎は2階建てに抑える計画だ。構造はRC造とし複数棟を建設。校舎に取り囲まれるように中庭も設ける計画で、各棟を渡り廊下でつなげる。
一方、体育館には1階部分に駐車場を設けて3階建てとする。体育館機能以外にも剣道や柔道などで利用できる武道場機能も併設。また、町内の中学校ではハンドボールが盛んで強豪校であることから、ハンドボールができる規模で計画している。町教委は「ハンドボールに対応させるため、国の基準よりも大きな施設となるように考えている」と話している。
また給食センターも設け、中学校のほか、町立小学校3校、幼稚園3園、保育園1園の給食を供給できる機能を備える。中学校は自校方式となるほか、それ以外の公立教育施設の給食の拠点ともなる。施設はS造2階建てとなりそうだ。
また、校舎脇には全生徒が集まり給食を食べることができる食堂棟(ランチルーム)も併設する。福島建築設計事務所からは特徴的なつくりが提案されている。現段階では平屋建てで構造は未定という状況。
施設の屋根は町の代表的な産業である瓦葺きを基本とするほか、太陽光パネルの設置も検討されている。施設全体をバリアフリー化するため、エレベーターが設置される可能性もあるという。また有事の際には避難所として活用できるよう、防災拠点としての機能も担わせる。これらは設計と並行して、学校関係者やPTA、議会や地域の代表者らで組織する建設検討委員会などで本年度いっぱいかけて詳細を検討していく。
13年度から15年度までの3カ年を期間とする「第5次総合計画実施計画」には、14年度事業費として16億6000万円、15年度事業費には8億2650万円の支出が想定されており、各種建築工事および附帯施設整備工事を行うこととしている。