北海道建設新聞社
2013/05/01
【北海道】道内のサービス付き高齢者住宅、半数は満室−12年末で182棟
道建設部住宅局は、道内のサービス付き高齢者向け住宅に関する調査報告をまとめた。サ高住の登録状況を集計し、事業者や入居者らにアンケート調査した結果、平均入居率は77%で、約半数は満室の状態であることが分かった。道は、入居率が高く、入居希望の問い合わせも多いため、今後も「供給促進が望まれる」と判断。8割弱が新築で整備される点などから、地元建設業などへの経済効果も期待できると分析している。
バリアフリー構造で、安否確認などのサービスを提供する賃貸住宅のサ高住は、2011年10月から登録制度が始まった。新築の場合に建設費の10分の1、改修には同3分の1が補助される。
今回、道が調査基準とした12年12月末で、道内35市町に182棟、6663戸が登録されている。地域別に見ると、札幌市内が86棟、3735戸で、それぞれ約半数を占めた。日高と桧山、留萌の3管内には設置されていない。
共益費と法定サービス料を含む平均家賃は8万1406円となっている。
事業者へのアンケートは148者、182件に調査票を送り、102者、130件から回答を得た。主な業種内訳は、介護・福祉が74者で59.2%を占めて最多。医療と不動産がともに15者、建設業が6者だった。
サ高住の整備手法は、新築が77.3%で最も多く、高齢者専用賃貸住宅などからの移行が13.3%で、改修は5.5%にとどまっている。
整備住戸の間取り別構成比は、ワンルームが73.1%を占め、1LDKが12.4%、1Kが9.4%。2LDKは2.5%にとどまり、単身者向けがほとんどだ。
併設する施設は、訪問介護事業所が54.6%、デイサービスが40.8%、居宅介護支援事業所が31.5%と高く、併設なしは21.5%だった。
入居率については、47.4%が「100%」と回答。「80%以上」は60%に達し、平均入居率は77%に上った。入居希望の問い合わせは「頻繁にある」が39.5%、「たまにある」が48.1%だった。
入居者の以前の居住地は、サ高住と同一市町が75.8%、道内他市町村からの移住が21.5%、道外からの移住が2.7%。また、入居者の67.1%は持ち家から、21.1%は民間賃貸住宅からそれぞれ転居している。
運営上の課題については、入居者が死亡したり病気を発症した場合の対応を心配する事業者が多かった。
道は事業者のほかにも、常勤の見守りサービス提供従事者、入居者にアンケート調査を実施。その結果、サ高住に対する高齢者の関心が高いことが分かり、「今後も地域のニーズに応じた供給促進が望まれる」と総括した。
整備上の課題として、道内各地への普及、生活の利便性に配慮した立地、建設業など地元産業の活性化と雇用の創出、入居者が以前住んでいた持ち家の活用法を指摘。また運営上の課題には、死亡時や認知症などへの対応、住み替え相談体制の整備、サ高住の質を維持・向上するためのガイドラインの検討などを挙げている。