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日本工業経済新聞社(群馬)
2013/04/26

【群馬】県建築住宅課が近く歴博改修の実施設計委託

 群馬県立歴史博物館における展示資料への水滴染み事故を受け、大規模改修事業を計画している県文化振興課から設計業務などの積算・入札手続きを受託した県建築住宅課は、5月中にも施設全体の実施設計を委託したい考え。また、大澤正明知事がPRを推し進める古代東国文化の発信拠点とするための展示室改修に向けた基本・実施設計も委託する方針だ。これらの委託方法については現在検討中。本年度の当初予算には施設全体の実施設計費に7700万円、展示室改修に先立つ基本・実施設計費に2300万円をそれぞれ計上している。工事については来年度からの着手を予定している。

 歴史博物館での水滴染み事故は一昨年の8月、企画展示室固定ケース内に展示されていた重要文化財を含む4点に水滴染みが生じたもの。固定ケースはW11・5m×H3・91m×L2・4mで、夏場の温湿度の変化に応じた空調管理が適切に行われず、天井の吹き出し口の金属部の湿度が低下し、結露が発生してしまったという。
 水滴染みが付いた資料については、すでに修復済みだが、この事故を受けて文化庁から受けていた「公開承認施設」の承認が取り消されたことから、県では再度「公開承認施設」の承認を得るため、大規模改修を実施することとした。
 工事は、全館の空調設備を改修するとともに、防水や外壁改修も実施。また、古代東国文化の発信拠点とするための展示室の改修(東国文化展示室などの設置)も行う予定。
 基本設計は昨年、日本設計(東京都新宿区)が作成。それによると、熱源設備は空冷・水冷チラーで熱源を供給。空調・換気設備をみると、収蔵庫は室ごとの空調機・換気系統で、24時間運転とする予定。展示室は常設展示系統と企画展示室系統の空調機・換気系統とし、こちらも24時間運転とする計画。また、既存の展示ケース空調スペースを利用した補助空調機も設置する。学習ホール系統と視聴覚室系統は高天井であるため、置換空調方式を採用し、事務室系統は空冷ヒートポンプパッケージによる空調および全熱交換機による換気を行う。排熱設備では、近代美術館との渡り廊下へ自然排煙窓を新設する。自動制御・中央監視設備では室ごとに温度と湿度の制御が可能となるシステムを構築する。給水設備は劣化の著しい箇所を改修・交換する予定。給湯設備については、中央方式を廃止して局所方式へと転換。衛生器具設備は地下1階のシャワー室をユニットシャワーへと交換する計画。
 具体的な仕様や詳細については、これから委託される実施設計を踏まえ決定していく。
 歴史博物館は1978年3月に完成。規模はRC造地上3階地下1階建て・延べ床面積7348u(建築面積4921u)で、屋根部分のみがS造となっている。