日本工業経済新聞社(群馬)
2013/04/22
【群馬】県吾妻農業、2013年度事業概要
県吾妻農業事務所農村整備課(中嶋三樹課長)は、2013年度の県営事業概要を明らかにした。それによると本年度の県営事業は昨年度から1事業増え6事業6地区に上り、昨年度末の補正予算繰越分を加えた実質事業費は、5億587万1000円と対前年度同期比で144・8%となった。東吾妻町萩生川西地区で工事が進む農地整備事業は、区画整理工11・3haに2億5000万円を投入する。新規事業は、中之条町わらび峠地区での地すべり防止事業と同町美野原地区の水利施設保全整備事業の2事業。ともに本年度は設計に取り組む。一方、県営調査計画では5事業6地区へ年度調査費2267万8000円を計上。前年度と比較して42%となる。新規では嬬恋村仙之入地区の表土流出防止に向けた基本構想の検討を2カ年で行っていく。
【県営事業】
最大の事業費が配分された事業は本年度も萩生川西地区の農地整備事業。昨年度は当初予算時点で1億2000万円で補正などにより追加され実施額は2億6605万円だったが、本年度は4月時点で2億5000万円を確保。全体で区画整理29・2haを計画する同事業は、総事業費6億9170万円。15年度の完了を目指し事業費ベースで63・8%の進捗率となっている。順調に進行していることから終了年度を1年前倒しする可能性もある。
同地区で実施される環境新技術導入事業は、石積護岸工L0・3qへ2000万円を投じる。水路改修工事にコンクリートをまったく使用しない石積工法を採用し、コストダウンと環境との調和を図る。総事業費は5000万円、進捗率60%、本年度で完了する。
昨年度に開始している嬬恋村大笹地区の農道保全対策事業は、本年度事業費を1億493万4000円とした。昨年度に測量調査設計の作成とともに一部工事を着手しており、本年度も引き続き対策工事となる。畑地帯を走る農道延長約9kmを対象に老朽化し劣化が見られる路面や橋梁、擁壁などを補修する。総事業費は4億5600万円を見込み、昨年度末での進捗率は9・9%で16年度終了予定。
嬬恋村四阿・白根地区での農地整備事業(畑地帯担い手支援型)は本年度、農道L5qの整備へ6666万7000円を措置。同地区では09年度から未舗装農道の舗装工などの農道整備L16・7q、暗渠排水工48ha、営農用水整備などに取り組んでいる。総事業費3億3000万円のうち、昨年度末での進捗率は76・9%に達した。来年度で終了する。
また、新規スタートするわらび峠地区の地すべり防止事業は、集水井4基、集水ボーリングL1240m、排水ボーリングL200mなどを計画。本年度に詳細設計を実施し、来年度に着工、18年度に完成予定。総事業費3億2000万円を見込んでいる。11年の台風12号および15号による集中豪雨により地すべり活動が再開し畑地などにクラックが発生していた。
美野原地区の水利施設整備事業(基幹水利施設保全型)は頭首工一式と幹線水路L1・2qなどの補修を計画。本年度は実施設計に着手し、工事は来年度から。総事業費は1億500万円、15年度の完了予定。
【県営調査計画】
仙之入地区は本年度から2カ年で表土流出対策の整備構想計画を作成する。総事業費は1000万円を予定。
09年度から実施している水利施設のストックマネジメント事業では、長野原町の応桑用水の機能診断調査と機能保全計画策定一式を行う。本年度で終了となり、総事業費3000万円で昨年度末の進捗率は70%となっている。
また東吾妻町上ノ原地区の県営調査は農地整備へ向けて、本年度も基本構想の検討を行う。農道の拡幅改良をはじめ農地の集積、また高台にあるため農地への用排水路の確保などを目指す。
本年度1年で震災対策農業水利施設整備事業によりため池7カ所を一斉点検する。内訳は高山村4カ所、長野原町1カ所、嬬恋村1カ所、東吾妻町1カ所。わらび峠地区での県民協働型地すべり区域危機監視事業は継続となっている。