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建通新聞社四国
2013/04/22

【高知】指名停止期間を短縮へ

 高知県の尾ア正直知事は、4月12日に行われた県議会4月臨時会において、独占禁止法違反により指名停止措置を受けた建設業者の指名停止期間の短縮を表明した。
 これを受け県は16日、指名停止期間が5月17日までの13者は4月16日まで、7月17日までの19者は5月16日まで、7月28日までの1者は5月27日まで停止期間を短縮する措置を通知した。
 尾ア知事は、2012年12月定例会で採択された「独占禁止法に違反した建設業者37社に対する指名停止処分の短縮等を求める請願について」への対応について、「建設業界におけるコンプライアンスの状況や経済動向などを多角的に検討する」として、これまで結論を先送りにしていたが、請願の趣旨を受け止め、県経済への大きな打撃を防ぎたいとの意向から今回の措置となった。
 コンプライアンスの確立については、建設業協会において倫理委員会の設置、多様な形態での研修会や勉強会、常設の相談窓口の設置、公益通報制度の創設により「有効な一連の手段が整った」と評価。独占禁止法違反を認定されたすべての事業者においては、コンプライアンスを徹底するための基本方針を策定し、これに基づき社内研修が実施されたことを受け「コンプライアンス確立に向けすべての事業者が着実に歩み始めた」との認識を示した。
 高知県では、指名停止による県経済や雇用への影響を見極めるため、独占禁止法違反者以外の建設業者および建設関連の事業者に対するアンケート調査を行うとともに、指名停止の37者に対しては、経営状況や雇用状況についての調査も実施。この調査を通じて尾ア知事は「多くの事業者が将来の経営に不安を抱き、特にいくつかの事業者の経営状況が非常に厳しいことが確認された。今回の指名停止により、廃業や倒産といった事態を招いた場合、連鎖的な倒産も想定され、県経済に大きな打撃を与えかねない」とし、また「このような事態が長引けば、必要なインフラ整備に混乱が生じ、アベノミクスによる経済対策という千載一遇の好機を失う。何より喫緊の課題である南海トラフ巨大地震対策にも遅れが出るのでは」との懸念を表した。
 指名停止期間短縮の一方、短縮措置を受ける事業者が今後10年以内に再度違反をした場合は、今回短縮する期間の2倍の期間を、その際受ける指名停止期間に上乗せする措置を取る。また主導的立場であったとされる3者については、短縮措置の対象とはしないこととした。
 議会の席上において尾ア知事は「これにより、県経済を守るため一定の軽減措置を図ってもなお、コンプライアンスの確立に向けた一連の取り組みと相まって、二度と今回のような事案が起こることのない態勢が整うのでは」との見解を示した。