日本工業経済新聞社(群馬)
2013/04/19
【群馬】指定廃棄物処理で1ha必要 市町村長会議で
放射性物質を含んだ指定廃棄物の最終処分場建設に向け、環境省は19日、第1回群馬県指定廃棄物処理促進市町村長会議を前橋市内の群馬県市町村会館で開催し、本県における最終処分場の整備計画などを示した。指定廃棄物の処理に必要な面積を残置および造成緑地などを含め約1haとし、内訳は埋立地2300u(埋立容量3000立方m)、管理施設1300u、搬入道路・構内道路2700u、防災調整池1200uなどとなる。会議後、報道陣を前に井上信治環境副大臣は「保管状況が逼迫していることを考えると早く処分場を決めなければならない。5月中にも第2回市町村長会議を開きたい」との意向を示した。
放射性物質汚染対処措置法により、汚染状態が1sあたり8000ベクレルを超える廃棄物は環境大臣による指定の上、国が責任をもって処理することとなっているが、県内で発生した指定廃棄物は当該県内で処理することが特措法の基本方針に定められている。同省の説明によると、本県には1sあたり8000ベクレルを超える廃棄物が計1131・1t保管されているという(昨年11月末時点)。
本県へは2300uの埋立地(埋立容量3000立方m)のほか、管理施設1300u、搬入道路・構内道路2700u、防災調整池1200u、残置および造成森林1900u、覆土仮置き場1500uを想定している。処分場はコンクリートに囲まれた遮断型構造とし、指定廃棄物はフレキシブルコンテナなどの容器で密封して土壌と土壌の間へサンドイッチ状に埋設する。その周りを2重のコンクリート構造物で囲い、ベントナイト混合土などによる遮断層を設置するなど十分な安全対策を講じる。コンクリート構造物は1重で35pの厚みを確保する。埋立期間中は屋根と囲いを設置し、雨水が処分場内に浸入することを防ぐほか、コンクリート壁の立ち上がり部分を地上面より高くすることで、降雨によって生じた表流水の浸入を防止する。また、コンクリートに囲まれた内部には施設自体の健全性を監視するため管理点検廊を設けるが、埋立終了後、数十年間置いたのち、放射性セシウムの吸着性質を持つベントナイト混合土を充填し、廃棄物から外部への放射性セシウムの漏出を防ぐ。
最終処分場の候補地選定にあたっては、今月22日に予定されている第2回指定廃棄物処分等有識者会議で選定基準案を話し合う考え。その後、第2回市町村長会議に選定基準案を示した上で、各市町村長からの意見を踏まえたのち、具体的な候補地の選定へと進んでいく流れ。
なお、報道陣から最終処分場建設地における地域振興策について聞かれた井上環境副大臣は「他県からも要望いただいたが、まずは最終処分場の安全性を理解してもらい、候補地のめどが立ったのち、しっかりと検討していくこととなる」と回答した。