日本工業経済新聞社(群馬)
2013/04/11
【群馬】多機能型住居整備に医療法人社団山崎会を選定
高崎市は11日、多機能型住居整備事業の事業予定者に医療法人社団山崎会(山崎學理事長、高崎市)を選定したことを市議会建設水道常任委員会に報告した。多機能型住居は中心市街地の連雀町・田町にある市有地を活用して老若男女が集まり交流することができる複合施設となり、長寿センター機能や特養機能、住宅機能、多世代交流施設機能などを備える。山崎会の提案ではRC造12階建て、延べ床面積1万310u規模、総事業費には約27億円を見込む。今後、今月中に事業参加の覚書を締結し、10月ごろまでに全体事業計画、事業区分、スケジュールなどの基本協定を締結する。基本協定締結の過程で事業予定者と市で協議し修正を加えて最終的な計画をまとめていく。2014年度に建設工事に着手し、15年度中の完成を目指す。
事業者選定プロポーザル・ヒアリングには山崎会のみが参加。◇市が求める施設構成を満たし、交流施設や高齢者サポート施設、子育て支援施設を核に、それを支える多機能型住居整備のプランとなっていること◇中心市街地に必要な施設で地域住民が利用できる長寿センターや、中心市街地ににぎわい創出につながる学生向け住宅、多世代交流施設が計画されていること◇周辺地域に配慮するため、中高層部のセットバックや北側の住宅に配慮したデザインを工夫するなど圧迫感や日影を緩和する措置が講じられていること◇イニシャル・ランニングコストの低減が検討されていること−などが総合的に評価され、選定された。
建設地は市営中央駐車場の部分で、敷地面積は2748・87u。施設はRC造12階建て、塔屋1階、建築面積1780u、延べ床面積1万310uを想定。地域密着型特養やショートステイ、小規模多機能型居宅介護、厨房、サービス付き高齢者向け住宅(計48戸)、診療所、訪問看護・介護ステーション、子ども預かり施設、地域包括支援センター、長寿センター、多世代交流施設、女子学生・外国人研究者向け住宅(計51戸)、中高年向け住宅(計11戸)などの機能を設け、多世代が同居する「みんなの家」と捉え、にぎわいを創出し人々の交流を導き育む施設計画となっている。
各通りに面した部分にカフェテラスや休憩テラスを連続させ交流を促す仕掛けを打つほか、参道に面した敷地東側は緑のある公園として整備し、目に優しい景観に加え、地域の子どもたちを集め施設利用者への癒し効果を狙う。
1〜3階に設ける活動諸室はにぎわいや交流が外からも見えるよう透明性の高い開かれた外観とするほか、日射をコントロールする庇の機能を果たすバルコニーを各階に設け、室内のプライバシー確保と開放感を両立させる。また、バルコニーによりボリュームを分節したデザインとすることに加え、高層部はセットバックさせて街への圧迫感低減を図り、自然素材を積極的に採用し優しい外観を創出する。
建築・設備の工夫によりランニングコストの低減も図る。建物の省エネルギー化を徹底し、光熱水費を縮減するほか、庇と高断熱複層ガラスにより夏の日射や冬の冷気を遮り空調効率を高める。高天井や吹抜部分には床吹出し空調システムの採用などエネルギー損失の少ない居住域空調とする。また、耐候性に優れた材料を用いメンテナンス頻度を少なくさせ、内外装には汚れにくい材料を採用し汚れた場合でも清掃しやすい仕様とする。