建通新聞社四国
2013/04/05
【高知】県入札契約制度、談合防止軸に見直し
高知県は、2013年度の入札契約制度改正について発表した。一連の談合問題を受けて開催された高知県談合防止対策検討委員会の最終報告を踏まえた制度の見直しが主体となっている。
主な変更点は次の通り。日付の記載がない項目は、4月1日から適用。
【入札制度の見直し】
<談合の有無をチェックできる入札制度の見直し>
▽工事費内訳書提出の義務付け(5月1日以後新たに行う入札公告と指名通知から適用)−2500万円以上の工事が対象。今後は14年度に1000万円以上の工事、15年度に500万円以上の工事に対象拡大を予定
<適切な入札手続きの執行のための入札制度の見直し>
▽総合評価方式における施工計画の審査を入札書の提出期限後開札前に行うよう手順を変更
<談合が行われにくい入札制度の見直し>
▽事業者が自己評価できない総合評価方式の配点などの拡大−施工計画の配点を企業4、技術者4、施工計画12と施工計画の配点を拡大。難易度の高い工事などで施工計画を求める工事を積極的に活用
▽談合により受注した工事の総合評価方式における評価の取り扱い(3月18日以後新たに行う入札公告から適用)−国、県、市町村などが県内で発注した公共工事のうち、談合により受注した工事については、総合評価方式における企業の評価(同種・類似工事の工事成績および優良工事表彰)の加点対象としない
▽入札参加資格の拡大(入札参加者基準および共同企業体の特例についての運用終了後に新たに行う入札公告から適用)−土木一式A等級の事業者のみを入札参加資格とする入札のうち、工法的に比較的簡易な工事についてはB等級同士のJVの入札参加資格を認める
▽一般競争入札の対象工事の拡大−原則一般競争としている下限額を3000万円に引き下げ。一般競争入札を適用できる下限(1000万円)を撤廃し、過去の入札状況を基に少額の工事でも実施するほか、価格のみによる一般競争入札も実施、施工能力は施工実績を入札参加資格要件に規定することで確保
▽一般競争入札の地域要件の設定範囲の拡大−例えば所内事務所(12ブロック)から土木事務所(6ブロック)の範囲とするなど、工事内容に応じ一定の競争性を確保するよう、入札に参加できる事業者の地域の設定範囲を拡大。地域要件を一定範囲にとどめることが適当な場合にも、金額により上位または下位のランクの事業者を加え競争性を確保
▽指名競争入札の指名業者数の拡大−下限のみを規定し8者(以上)とする。委託業務も同様
▽予定価格の事後公表の拡大−5000万円から3000万円に下限額を引き下げる
【ペナルティーの強化】
▽指名停止期間の見直し−独占禁止法違反について県発注工事は6〜24カ月(標準12カ月)、県内業務は5〜20カ月(標準10カ月)、県外公共工事は4〜16カ月(標準8カ月)に引き上げ。談合罪(県発注工事)については代表役員などは7〜28カ月(標準14カ月)、一般役員などは4〜24カ月(標準12カ月)、使用人は4〜24カ月(標準8カ月)に引き上げ
▽独占禁止法などにおける再度の違反−指名停止に係る遡及期間を5年、指名停止期間の加算を標準月数の5割とする
▽独占禁止法違反における主導的立場に対する指名停止期間の加算−標準月数の5割とする
<その他のペナルティーの強化>
▽指名停止事由の追加−談合情報等対応マニュアルに基づく見積根拠資料提出や事情聴取に正当な理由なく応じない場合、1〜4カ月(標準2カ月)の指名停止とする
▽総合評価方式における減点項目の新設−独占禁止法違反などによる指名停止を受けた場合はマイナス10点とする(公告日以前1年間に指名停止を受けていた場合)
▽入札参加資格における地域点数の減点(15年度の入札参加資格の格付から適用)−地域点数の減点の下限を撤廃し、マイナス10点×指名停止月数とする(審査基準日前1年間に指名停止を受けていた場合)
【コンプライアンスの徹底】
▽コンプライアンスに係る基本方針の策定状況の入札参加資格の格付への反映(14年度の格付から適用)−事業者にコンプライアンス基本方針の策定を促し、策定できていない事業者は県の入札参加資格の格付を2ランクまたは最下位のランクへ引き下げ
≪その他の入札契約制度の改正≫
▽現場代理人の常駐緩和−国の経済対策に伴う補正予算などの執行のため、13年度に限り、現場代理人の常駐義務の要件を緩和し、兼務を承認する対象に「請負対象金額250万円以上2500万円未満の工事(2件)」を追加する。また土木構造物の維持管理業務委託に係る現場責任者と現場代理人について、13年度に限り、現場代理人同士の兼務の場合と同様に兼務を承認する
▽総合評価方式の改正−企業の評価における評価項目について、地域性・社会性評価として「BCPの認定の状況」を追加(加入または認定ありで10点加算)
▽建設工事請負契約書等の改正−受注者から請負代金の前払い金の返還を受ける場合の遅延利息などの利率を年3・0%(改正前3・1%)に改正する
▽低入札価格調査制度の取り扱いの改正(5月1日以後新たに行う入札公告から適用)−低入札価格調査制度を適用する建設工事の一般競争入札において、低入札者に係る失格調査などを、従来の見積内訳書に代えて、工事費内訳書に基づき実施する