国土交通省中部地方整備局港湾空港部は、施設の老朽化対策を課題に、管内の港湾の岸壁をはじめとした国有港湾施設を対象とした緊急点検を開始する。点検の結果、改修などの対応が必要となった場合は、既存の維持管理計画書に反映し、予防的な保全を行っていく。
国交省はこれまでも、定期的な点検に基づいて作成する維持管理計画書により、国有港湾施設の予防保全を行ってきた。しかし、12年に発生した中央自動車道笹子トンネルの崩落事故など、既存社会資本の老朽化の問題が顕在化する中で、国交省は、事故時に人命に関わる可能性のある施設・部位などを対象として、緊急点検を実施する方針を打ち出した。具体的には、係留施設や臨港交通施設などが対象となる。
中部地方整備局港湾空港部は12年度補正予算の成立を受け、名古屋港▽清水港▽三河港▽衣浦港▽四日市港―で緊急点検業務の委託に向けて入札を公示。3〜4月にかけて順次契約し、13年度6月をめどに点検・評価を完了する。
対象となるのは、主に岸壁などの係留施設。名古屋港は金城ふ頭(3施設)と稲永ふ頭(21施設)の2地区を点検する。四日市港では係留施設のほか、外港地区東防波堤の点検調査も行う。
点検の結果、安全性に問題がある箇所が見つかった場合は、緊急度などを踏まえて対策を検討する。既存の維持管理計画に組み込み、優先度に応じて順次改修していく。
提供:建通新聞社