富士山静岡空港の今後の在るべき姿を探ってきた「先導的空港経営検討会議」(委員長・山内弘隆一橋大学大学院教授)の最終会合が27日、県庁内で開かれ、「富士山静岡空港の新たな経営体制等に関する答申」の案をまとめた。民営化の理念を維持しつつビジネスモデルを発展させることを基本的な考えとし、具体的な取り組みとして「旅客ターミナルビルの機能向上(増改築)」と「設置管理者(県)による施設保有の一体化と空港経営の一元化」を掲げた。
答申案では、空港の目指す姿として、@静岡「県民のための」空港A「静岡の空の玄関口」から「日本と東アジアの懸け橋」としての空港B「地域振興・にぎわいづくりの拠点」としての空港C官民連携により先導的な経営を行う空港―を提示。これを実現するため、旅客ターミナルビルの機能向上と、設置管理者による施設保有の一体化・空港経営の一元化に取り組むことを求める。
具体的には、空港のポテンシャルを引き出すため、「現時点での追加投資が必要」と指摘。空港が社会資本であることから、増改築工事を県が実施するよう求める。これにより、県の空港経営に関する責任を明確化。
また、空港基本施設と旅客ターミナルビルを県が一体的に保有した上で、その運営権を民間に譲渡することが望ましいとした。その際、指定管理業務を拡大し、空港経営の一元化を推進することや、外部人材の登用、利用者へのもてなしの充実が必要だとした。
段階的にこれらの取り組みを進め、最終的な空港経営体制として、▽空港基本施設・旅客ターミナルビルなどの公共施設等運営権の民間事業者への譲渡▽多様なサービス提供などによる満足度向上で路線充実や利用者増につなげる空港経営の実現―を目指す。
さらに、2013年度に県が取り組むべき事項として、旅客ターミナルビルの改修や増築に伴う基本計画の作成、ターミナルビルの県有化に向けた資産評価と取得手続き、14年度からの業務を担う指定管理者の選定手続き、現在の指定管理者である富士山静岡空港会社の減資や県の資本参加などの検討を求めている。
(2013/3/29)
建通新聞社 静岡支社