国土交通省中部地方整備局は、南海トラフ巨大地震などの大規模災害の発生時に、国レベルの司令塔機能を担う基幹的広域防災拠点の設置場所として名古屋市三の丸地区にある名古屋合同庁舎2号館を選定した。2号館の活用に際しては、活動スペースの確保などが必要なことから、今後改修の可能性について検討を進める。長期的には、三の丸地区内で庁舎を新たに設けることも想定し、防災拠点施設単独の整備や、既存庁舎の建て替え時に合わせて合同庁舎を整備する案などについて関係機関で協議を進める。
25日に開いた中部圏基幹的広域防災拠点ワーキングで提示した中部圏広域防災ネットワーク整備計画の第1次案に盛り込んだ。今回提示した計画案は、内閣府の中央防災会議が策定する、南海トラフ巨大地震の被害想定を踏まえた防災上の活動計画に位置付けたい考え。中部地整は、内閣府での位置付けを経て、可能であれば2014年度の予算要求に反映していきたいとしている。
基幹的広域防災拠点に選定した名古屋合同庁舎2号館には、緊急災害現地対策本部などの設置を想定。活動スペースが不十分なことから、当面の対策として会議室の低層階への集約などを検討する。また、非常用発電機の増設も必要となる。これまでに、本部機能のイメージとして活動人員150人、オペレーションルームの面積300〜400平方bとする想定が提示された。
長期的には、三の丸地区で防災拠点施設の新設も視野に入れて関係機関で協議を進める。具体的な整備手法としては、防災拠点施設のみを備える単機能型▽地区内の既存庁舎の建て替え時に拠点施設を併せて整備する合同庁舎型▽民間事業者を誘致して民間施設と防災拠点を併せて整備する事業者誘致型―を挙げた。
計画案に、司令塔機能(T−A)を担う基幹的広域防災拠点として位置付けたのは、名古屋市三の丸地区と静岡県庁。緊急支援物資の授受などの高次支援機能(T−B)を担う基幹的広域防災拠点は、名古屋港と県営名古屋空港、富士山静岡空港。このほか、県レベルの防災活動の基地となる広域防災拠点(U−A)として22カ所を位置付けた。
防災拠点(T−B)として位置付けた施設についても、今後、整備手法や施設配置を検討し、必要な設計を進める。防災拠点(U−A)も、各施設で不足している機能を確認し、周辺施設との連携や新施設の整備を検討する。施設の管理者も多岐にわたるため、整備主体についても検討が必要となる。
また、拠点間の連携を高度にするため、幹線道路などの交通網の、災害に対する強さを確認するとともに、拠点ごとの役割分担などのネットワーク化についても考えていく必要がある。
広域防災ネットワークの整備計画の協議に際しては、国レベルの基幹的広域防災拠点はワーキンググループ(WG)1、県レベルの広域防災拠点は県ごとに、長野県(WG2)▽岐阜県(WG3)▽静岡県(WG4)▽愛知県(WG5)▽三重県(WG6)―を設けて検討を進める。
今後、5月に開催する予定の東海・東南海・南海地震対策中部圏戦略会議での報告を目指し計画案の精査を続ける。
提供:建通新聞社