岐阜県は、南海トラフ巨大地震や内陸型地震などの超広域災害に備え、ネットワークの多重化・代替性の確保などのために「緊急輸送道路」の見直しを行い、整備基準を新たに設定したほか、道路ネットワークを見直し約600`を追加指定した。2013年度には、緊急輸送道路の整備箇所を選定し、最大震度6弱以上のエリアなどは5年程度、それ以外は10年程度で整備する全体の整備計画を策定するとともに緊急輸送道路の防災対策を重点的に実施していく。
今回の見直しに際しては、岐阜県防災対策推進会議での方針を踏まえ、ネットワークの多重化・代替性の確保や防災拠点の見直しの観点から、国土交通省や警察、自衛隊などの関係機関で構成する協議会で検討を進めてきた。
見直しの概要は次の通り。
<緊急輸送道路の基準を新たに設定>
緊急輸送道路に求められる機能を確保していく必要があり、その整備基準を新たに設定。緊急輸送道路の基準としては、第1次緊急輸送道路は車線数が2以上。第2次・第3次緊急輸送道路は原則車線数が2以上であること。ただし2車線が確保できない区間は待避所などがあること。待避所などの相互間の距離は300b以内を基準とするが当面は500b以内とする。また、構造物の基準として、橋りょうは震度7程度の地震が発生しても落橋など致命的な損傷を受けず、速やかに復旧できる強度を有する。斜面は、道路斜面の点検で要対策とされた箇所の対策が行われ、地震時や豪雨時に道路が通行不能となるような落石や崩壊が生じないこと。沿道建物は、地震時に被災しても著しく通行の妨げにならず、速やかに道路としての機能を確保できることとした。
<防災拠点の見直し>
超広域災害に備え、大型ヘリポートや県広域防災拠点などを新規追加。第1次拠点は県庁舎および岐阜県警察本部としたほか、第2次拠点としては道の駅を新規整備5カ所、県広域防災拠点を各圏域ごとに1カ所以上、河川防災ステーションおよび防災拠点を7カ所、高速道路SA・PAを17カ所指定するなどした。
<道路ネットワークの見直し>
道路ネットワークの見直しでは、県独自の地震被害想定などを踏まえ、大規模災害時に道路が寸断した場合でも近くに代替的な道をを確保できるようネットワークの多重化・代替性の確保・強化の観点から約600`を追加指定した。東海環状自動車道などの高速道路では34`を追加、国道21号可児御嵩バイパスなどの国道(国管理)は14`を追加。また、国道248号バイパスなどの県管理の国道は118`、岐阜関ケ原線などの県道は321`を追加。市町村道は70`、美濃東部農道などの農・林道は38`を追加した。これにより総延長は3055`となる。
提供:建通新聞社