日本工業経済新聞社(群馬)
2013/03/26
【群馬】高崎市新体育館設計者に山下設計を選定
高崎市は26日、新体育館設計者の選定結果について、山下設計(東京都中央区)を最優秀者としたと市議会都市集客施設調査特別委員会へ報告した。今月内に契約を結び、12月中旬までに実施設計をまとめあげる予定。山下案は新体育館を『高崎の新ゲート』と位置付け、新幹線や高崎線などから見える景観に配慮しているほか、現在の県道側からの入口に加えて高崎駅方面からの上信線路下アクセスや将来的には高崎駅からのペデストリアンデッキによる接続なども想定し、二方向からの動線を重視した計画となっている。体育館本体は6000人規模の国際大会まで開催できる高機能アリーナとして計画。業務を進めるにあたっては高崎の風土を熟知し、県内の体育施設に豊富な実績を持つ地元設計事務所との協力体制を構成していく。
公募型プロポーザル方式で選定を行い、山下設計のほか◇梓設計◇石本建築事務所◇久米設計◇坂倉建築研究所◇松田平田設計−の在京6者が参加。新体育館設計者選定委員会におけるヒアリングにより山下設計を最優秀者に選定した。次点は松田平田設計だった。選定委員長を務めた松本泰夫副市長は「差が付いたのは都市の見せ方だと思うが数点の差だった。どちらが選ばれてもおかしくなかった」と説明。都市の見せ方のほか、多目的な市民利用が図られること、駅からまちなかのにぎわいをつなぐ提案であること、周辺に配慮した施設配置計画であることなどが評価された。
都市景観を形成するため『周辺環境に配慮しつつ立地のポテンシャルを最大化すること』と『駅前整備の将来像を見据え、備えること』−の2点を重視した計画となっている。新幹線や高崎線が敷地に沿って駆け抜けるスケール感に対応するため、施設全体を大屋根で包み、流体形状の躍動感あるデザインとなる。周辺の住宅地に対しては建物高さを抑える空間計画、施設騒音の影響を抑える防音性能の確保、プライバシー保護のための緑の緩衝帯や空地の確保など、住環境にも十分に配慮する。また、高崎駅や駅前施設でペデストリアンデッキの整備が進んでおり、大規模な興行試合を想定していることから、「将来、駅前からデッキでつながることが重要になる」とし、敷地駅側に駅前広場の拡大に対応できるオープンスペースを計画するとともに、駅直結の『駅前アリーナ』の将来像を見据える。
計画地が鉄道と住宅地に挟まれて接道面が少ない三角形状の敷地であることから、新アリーナの主機能については敷地西側に集約し、住宅地の南側と鉄道の東側に幅広い緩衝・動線空間を確保する。この空間の中に@駅や街とつながる動線A新アリーナの主機能をつなぐホワイエ空間を配し、まちとのつながりをつくり、さまざまな交流を育む『シビックプロムナード』を形成するという。シビックプロムナードにはトレーニングエリアやスポーツの枠を越えた地域コミュニティ拠点として利用できる場を計画し、交流と創造のまちづくりにつながる体育館を目指していく。