日本工業経済新聞社(群馬)
2013/03/05
【群馬】甘楽町が歴史的風致維持向上計画に事業を追加
甘楽町は、歴史上価値の高い建造物などを後世に伝えていくため、「歴史的風致維持向上計画」を策定しており、それに基づいて建造物とその周辺の市街地とが一体となって形成する良好な市街地環境、いわゆる「歴史的風致」の維持向上施策を進めてきている。新たに国から計画の一部変更・追加の認定を受け、「周遊拠点施設整備事業」や「案内板等整備事業」といったハード事業が盛り込まれた。これらのほか来年度からは松浦氏屋敷保存・修理事業などにも着手し、さらなる歴史的風致の維持向上を図っていく。
同計画は、国指定名勝・楽山園を中心とした武家屋敷や藩政時代の町割りがほぼそのまま残る町屋地区、雄川堰が流れる城下町の範囲を基本とした「小幡城下町地区」207haを重点区域に設定し、国から支援を受けて事業展開を図っている。2010年度から19年度までの10年間を期間としており、すでに名勝楽山園環境整備事業など一部事業については完了している。
今回、新たに追加されたのは周遊拠点施設整備事業と案内板等整備事業。周遊拠点施設整備事業は、町の玄関口に情報発信施設を整備して歴史的資源をつなぐネットワークの向上を図るもの。社会資本整備総合交付金を活用して14年度までの完了を目指す。
案内板等整備事業は、重点区域内全域で重点区域の主要な地点に案内板や情報板を設置することで、住民や来訪者が建造物への理解を深めさせるとともに、散策ルートを設定し回遊性の高いネットワークの形成を図る。13・14年度の2カ年で実施していく。
このほか、13年度からは松浦氏屋敷保存・修理事業に着手する。武家屋敷地区にある松浦氏屋敷は、武家の屋敷構えと雄川堰の地割が一体となっており、江戸時代の武士の生活環境と当該地域の歴史を知るうえで極めて重要な資源と位置付けられている。保存修理などを行うことで武家屋敷群の充実化を図るとともに、見学を目的とした来訪者の増加が期待できる。13年度予算案には1368万8000円を計上、調査設計などを進めていき、14年度の事業完了を目指す。
有賀茶店保存修理事業も13・14年度を予定。町屋地区にある伝統的な建築物と位置付けられる資源を保存修理する。楽山園周辺道路整備事業では、楽山園へ通じる町道の電柱類移設や拡幅、照明施設整備を行うもので、事業期間はやはり13・14年度を見込む。雄川堰整備事業は13〜19年度を予定し、雄川堰の大堰・小堰の補修を進めていく。
14年度以降も◇高橋氏屋敷保存・修理事業◇山田家の喰い違い郭整備事業◇旧甘楽社小幡組倉庫整備事業(旧小幡組製糸レンガ造り倉庫)◇織田公公園整備事業−などに着手していく。