北海道建設新聞社
2013/02/25
【北海道】木質バイオマスで電気と熱を自給−下川町が市街地1400戸対象に
下川町は、市街地1400戸を対象にした木質バイオマスによる熱電自給計画を構想している。これに向け、熱電供給プラント1基と木質バイオマスボイラ5基を市街地に新設する計画で、総事業費は関連する管整備を含め約59億円に上る見通し。2月末にマスタープランをまとめ、2013年度に熱電供給プラント実現の可能性を調査する一方で、木質バイオマスボイラ2基の実施設計を進め、うち1基に着工したい考えだ。
町が進める環境未来都市事業「人が輝く森林未来都市しもかわ」では、18年度までに町内の電気と熱の自給率を100%にすることを目標に掲げている。これに基づき、下川市街地を対象に木質バイオマスを活用して電気と熱を自給する構想を打ち出した。
町では、電力や石油の消費により年間約9億円が町外に流出しているが、林地残材を資源とした木質バイオマスの活用で5億円を留保させ、町内の経済循環を拡大させる効果を見込む。
12年9月に経済産業省のスマートコミュニティ構想普及支援事業の採択を受け、検討委員会を設けて構想実現の可能性を審議。2月20日の委員会で構想の方向性が了承されたことから、これまでの検討結果を基に月末にマスタープランをまとめる。
同町市街地のエネルギー年間需要総量は、電力量が1万5000MGh、熱量が市街地で現在稼働しているLPGや木質バイオマスボイラの熱量を除き、11万2900GJにそれぞれ設定した。木質バイオマスによるエネルギー供給の目標値は、これらの数値からサンルダムの水力発電、蓄電池や電気自動車の普及、省エネ対策の実施により30%削減した値を想定。電力量は年間1万500MWh、熱量は年間7万9000GJとした。
電気は、新設する熱電供給プラント1カ所で目標値を賄う。プラントの出力は電力1500kW、熱3600kWとし、燃料となる木材の量は年間3万tを試算。緑町などエネルギー需要が高い木材工場が集積するエリアに配置する方針だ。発電した電気の一部は北海道電力に売電する考え。
熱は、熱電供給プラントからのほか、木質バイオマスボイラ5基を新設して確保。ボイラは下川小や町立病院周辺に1基(出力1000kW)、下川中周辺に1基(1100kW)設置する方針で、残りの3基の設置場所は今後検討する。
関連工事として、市街地全域で熱供給導管を20kmにわたり整備するほか、1400戸の接続配管を想定している。
整備スケジュールは、熱電供給プラントが13年度の実現可能性調査、14年度の実施設計を経て、15年度に施工。16年度の供用開始を目指す。
木質バイオマスボイラについては、下川小や町立病院周辺の1基は13年度に実施設計と工事に取り掛かり、14年度に供用する見通し。下川中周辺の1基は13年度に実施設計を進めて14年度に施工、15年度に供用する見込みだ。残りの3基の整備時期は、熱電供給プラントの実現可能性調査で施設の概要が固まり次第、決める方針だ。
概算事業費は、熱電供給プラントが施設周辺の送変電設備を含めて20億円。木質バイオマスボイラは、下川小や町立病院周辺の1基が3億円、ほかの4基は1基当たり1億円を試算。管関係は、熱供給導管に20億円、住戸の接続配管に12億円を見込んでいる。