国の大型補正を受け総額342億円の投資的経費を盛り込んだ2012年度2月補正予算を迅速・円滑に執行することを目的に、静岡県は「緊急経済対策に関する公共事業受発注者連絡会議」(議長・長島郁夫県交通基盤部長)を設置し、22日に県庁内で初会合を開いた。受注側の代表として参加した県建設産業団体連合会と県建設業協会(いずれも伊藤孝会長)に対し、県側は、原則として3月末の契約を目指す方針を示すとともに、指名競争入札や総合評価制度の弾力的な運用、資材・労務単価の変動把握と必要に応じたスライド条項の適用などに取り組む方向を明らかにした。
県側が説明したのは、補正予算に対応するための@執行方針A入札方式B配置技術者の取り扱いC資材・労務単価の変動への対応―の四つ。
予算執行については、基本的に3月末までに契約することを目標とし、契約が困難な案件は3月中に入札公告または指名通知を行うこととする。
入札方式は、現行の規則・要領などを変更しないが、指名競争入札と総合評価方式を弾力的に適用する。工事の規模や種別、地域の建設業者の状況などを勘案して指名競争入札や総合評価方式の採用を検討する。いずれも2月補正だけの措置とし、13年度予算の工事には適用しない。
また、配置技術者の取り扱いでは、2月5日に国が通知した内容に沿って「密接に関係する5`程度以内の二つの工事の専任の主任技術者の兼務」を認めるほか、「現場代理人の常駐義務の緩和」「監理技術者または主任技術者の選任を要しない期間の明確化」を受発注者双方に再周知する。
県工事では、施工着手日が確定していない場合、「開札日の翌日から起算し20日目から技術者の専任配置が必要」としている。つまり、工期が年度末の工事を受注している業者でも、契約工期の着手日(契約日の翌日)が3月下旬の工事に応札可能だ。
こうした現行制度の内容を受注者と発注者の双方に徹底することで、年度末工期の工事を抱える建設業者が、技術者の不足を理由に入札に参加しない状況を回避する。
さらに、資材・労務費の変動を把握し、必要に応じたスライド条項の適用を検討する。
伊藤会長は会議終了後、県側の取り組みについて「受注者側の不安が完全に消えるものではないが、県と突っ込んだ話ができたことは有意義だった。補正予算が円滑に執行できるよう、受発注者双方が理解・協力する必要がある」と述べた。
(2013/2/25)
建通新聞社 静岡支社