内陸のフロンティアを拓(ひら)く総合特区地域協議会(会長・森山誠二副知事)が18日、県庁内で開かれ、内閣府による特区指定を受けた取り組みの方向を協議した。今後の事業推進体制として民間事業者を中心とした「民間コンソーシアム」の設立や、「市街化調整区域での開発許可の特例」「農用地区域の変更と農地転用の特例」など優先的に取り組む18件の提案の作成を確認した。優先提案については、国との協議などを経て6月にも「総合特区計画」を申請し、同月中に認定を受けることを目指す。
協議会の冒頭、川勝平太知事があいさつし、「南海トラフの巨大地震想定で11万人もの死者が想定される本県では、内陸での新たなまちづくりと沿岸部の再生を進め、両地域を結ぶインフラを整備する必要がある」と特区の必要性を説明。その上で、「いよいよ出発点に立ったという思いだ。防災・減災とともに新たな地域活性化につなげる取り組みを『やれる所からやっていく』ことが必要」と述べた。
協議会では、すぐに開始する方針の「国と地方の協議(春協議)」のスケジュールを県が説明。優先的に取り組む提案(事業)を選定し、提案内容に応じた各省庁の確認・調整を実施する。書面や対面での協議を行った後、6月に総合特区計画を作成して国に申請。同月中の特区計画認定を目指す。
優先的に提案する規制の特例措置などとして現段階で想定しているのは、▽土地利用規制に関する国との一括事前協議制度の創設▽市街化調整区域での開発許可の特例▽農用地区域の変更と農地転用の特例▽農用地区域の変更に関する要件の緩和▽工場立地にかかる公共空地の確保のための緑地規制の緩和▽農業振興に役立つ施設に関する要件の緩和(農業用施設の追加)▽市街化調整区域での市民農園区域の指定に関する規制の緩和▽農地の法面または湖畔に設置する太陽光発電施設の転用許可の特例措置▽区間を限定した特殊車両通行許可制度の許可を不要とする特例―など18件。
まず、これらの措置を認めてもらうことで、先導的な取り組みと位置付けている▽三島市・函南町・長泉町の「東駿河湾環状道路沿線の農業と観光の新結合による拠点エリアの形成」▽富士市の「新富士インターチェンジ周辺での物流産業の集積と観光拠点の創出」▽静岡市の「食と農の都市農村交流エリアの形成▽吉田町の「津波防災まちづくりによる沿岸域の地域づくりモデル創出」▽袋井市の「沿岸域での企業移転・農地再生モデルの創出」―などの事業を具体化する。
また、事業の推進体制として、新たに民間事業者(進出企業)や金融機関が参加する「民間コンソーシアム」を立ち上げ、企業ニューズの集約や制度立案の提案などを検討していく考え。
(2013/2/20)
建通新聞社 静岡支社