国土交通省中部地方整備局は、同局と愛知県、三河地域の6市町で構成する「検討の場」で検証を進めてきた設楽ダム建設事業について、洪水調節・新規利水・流水の正常な機能維持という三つの目的別に総合評価を行った結果、いずれの点でも現計画の「設楽ダム案」を最も有利であるとする総合評価案を策定した。今後、学識経験者や関係者から意見を聞き、事業評価監視委員会からの評価を経て、対応方針を国交省に報告する。
設楽ダムは、愛知県設楽町で事業化しているの多目的ダム。現計画の総貯水容量は約9800万立方b。2010年に検証対象ダムとして位置付けられ、中部地整が事業の検証作業を進めてきた。ダムを建設する現計画のほか、地下水取水やため池、ダム再開発などの対策案を提示した上で、治水や利水、流水の機能維持という目的別に、安全度・コスト・実現性などを総合的に評価。今回、「最も有利な案はいずれも設楽ダム案」とする総合評価案をまとめた。
今後、総合評価案を盛り込んだ報告書素案を関係者に示し、意見を聞く。学識経験者で構成する「豊川の明日を考える流域委員会」に意見を求めるほか、関係住民(豊橋市、豊川市、蒲郡市、田原市、新城市、設楽町)を対象に「住民の意見を聞く場」を設ける予定。また、関係地方自治体の長として愛知県知事、関係利水者である愛知県から意見を聞く予定。さらに、中部地整事業評価監視委員会の意見を踏まえて対応方針案を決定し、国交省に報告する。
提供:建通新聞社