静岡県国土利用計画審議会(会長・原田英之袋井市長)は1日、県庁内で2012年度の会合を開き、県の「土地利用基本計画書」の一部改正案を審議した。南海トラフの巨大地震などによる地震・津波災害に備えた土地利用や「内陸のフロンティアを拓(ひら)く取組」を円滑に進めることを目的に、内陸高台部と臨海都市部の今後の土地利用の方向などを盛り込んだ内容に理解を示す一方、「内陸部と臨海部以外の地域の土地利用の方向も示すべき」「土地利用と合わせ産業の方向も明記すべき」などの意見が出た。県は今後、県内市町や県民意見の反映手続きを行うとともに国土交通省との協議を実施。6月をめどに再度、同審議会に内容を諮り、土地利用基本計画書を改正する。
土地利用基本計画は、都市計画法や農業振興地域の整備に関する法律、森林法といった個別規制法に対し、総合的な見地から土地利用の基本方向を示すものとして県が策定している。
現行の計画では、地震に対応する土地利用の方向は示しているものの、津波に対応するための記述がない。また、「内陸のフロンティアを拓く取組」として、新東名高速道路の開通を契機とした内陸部での新たなまちづくりを今後進めるに当たり、地域別の土地利用の方向を定める必要がある。そこで県は、土地利用基本計画書の一部を見直す。
土地利用の基本方針に、内陸のフロンティアを拓く取り組みと、持続可能な県土の再編を行うことを位置付ける。また、県土利用の質を向上するため、南海トラフの巨大地震などによる地震・津波災害に備えた適正な土地利用を目指すことを明記する。
地域別の土地利用の基本方向として、内陸高台部について、産業や生活の基盤整備の計画的な配置と乱開発の防止、農村・森林などの環境の保全、建築物の高さ制限を含めた景観への配慮などを盛り込む。臨海都市部では、防災施設を効果的に配置して都市の防災機能を高めるとともに、災害の危険性の少ない低・未利用地を活用した住宅地の整備や緑地空間の創出などにより、都市再生を促す。
(2013/2/8)
建通新聞社 静岡支社