建通新聞社(神奈川)
2013/02/07
【神奈川】川崎市 耐震強化岸壁を新設 臨海部防災対策計画など素案を公表
川崎市は、地震被害想定調査の結果と、地震防災戦略など四つの防災計画の素案を公表した。東日本大震災を受けて新たに策定する川崎市臨海部防災対策計画(素案)で、千鳥町地区への耐震強化岸壁の整備や、既存の耐震強化岸壁の再調査を計画。殿町3丁目のキングスカイフロントなどの地域を含む臨海部で想定される災害への対策を盛り込んだ。
今回公表したのは▽地震防災戦略(改定素案)▽備蓄計画(改定素案)▽臨海部防災対策計画(素案)▽津波避難計画(素案)―の四つ。
新たに調査項目に加えた津波対策では、慶長型地震(マグニチュード8・5)を基に、川崎港での最大津波高を約3・71b、最大津波到達時間を96分とした場合の被害予測と対策をまとめた。 調査結果によると、緊急交通路と緊急輸送路に指定されている道路のうち、川崎区内を通る道路の多くの箇所が浸水すると予想。特に高速湾岸線・東京湾アクアラインは川崎浮島ジャンクションで浸水、首都高速6号川崎線は大師ジャンクション付近のトンネルが浸水すると報告した。
鉄道では、京急大師線の産業道路駅〜小島新田駅のほか、JR南武支線の川崎新町〜扇町、川崎臨海部を通る各貨物線が浸水するとしている。
これに対し、予防策で防潮堤・扉の計画的な維持・修繕を実施するほか、津波浸水予測地域の備蓄倉庫や非常用発電機などの上層階への移動を検討。また、川崎区内の公共・民間施設を津波避難施設に指定する。
石油タンクの破損や流出、火災などが想定される石油コンビナートについては、地盤の液状化被害が大きいと判定された地域内の特定事業所に対し、敷地内の液状化の詳細判定や、地盤改良、構造物の設計を強化するなど、自主的な対策を求める。
臨海部の公共施設の安全対策では、災害時の緊急物資を受け入れる耐震強化岸壁の現状と耐震性の再調査を実施するとともに、千鳥町地区に新たに耐震強化岸壁を整備する。規模はマイナス10bで、1バースを予定。また、東扇島地区の外貨コンテナ1バースを耐震岸壁として整備する。
一方、市内全域の地震被害想定調査では、川崎市直下の地震(マグニチュード7・3)と相模トラフ沿いの地震(元禄型関東地震、マグニチュード8・2)の2パターンを基に見直した。
川崎市直下の場合、ライフラインの被害では、上水道の断水世帯が約35万1000世帯で、全世帯数の約52%。下水道の機能支障世帯は約27万6000世帯に上り、前回調査結果の約26万3000世帯から1万3000世帯増加すると予測している。
市は各種防災計画案について3月11日までパブリックコメントを実施している。
問い合わせ先は総務局危機管理室。