日本工業経済新聞社(群馬)
2013/02/01
【群馬】14年度から事業着手−水道施設の長寿命化-渋川市
渋川市は、本年度に作成している水道施設耐震化および長寿命化整備実施計画に基づいた事業を2014年度からスタートする。策定業務は新日本設計(長野県長野市)へ委託中。同市内全域の水道管路L760qとそのほかの水道施設約200カ所から重要性の高い幹線や施設を抽出し、10年間にわたって補強や建て替えなどの対策を実施していく。その中でも、坂之下浄水場と金井浄水場は建設から年月が経っていることから耐震二次診断の対象となる見通しで、何らかの対策工事を実施していく可能性が高いもよう。
東日本大震災を受けて昨年6月に群馬県が作成した群馬県地震被害調査の結果に基づいて、管路や配水池、浄水場、ポンプ場など水道施設の耐震化と長寿命化を図る。渋川市は最大で震度6弱が想定されており、大規模な断水などの問題が発生しないように老朽化した施設で対策を行っていく。本年度いっぱいを充てて実施計画を委託し作成しているため、来年度当初予算案へは反映されないもよう。同実施計画内で詳細箇所や対策方法が決まっていく。事業期間は2014〜23年度までの10年間となる。
同市の水道事業は伊香保地区では1941年から、最も遅かった北橘地区でも77年から開始。2009年度から30年間を計画年度とする同市水道ビジョンにおいても、災害に強い水道施設の整備を計画的に進めるとしており、水道施設の統廃合、省エネルギー化などが掲げられている。
対策の優先度が高い管路は、口径が大きい主要管路で、整備から年数が経ち耐震性が低いもの。約30q布設されている既設鋳鉄管も老朽化が懸念されている箇所について更新していく。石綿セメント管は来年度で更新事業を完了させる。
坂之下浄水場は1967年に整備され、旧市街地のへ1日7000tを給水する施設。金井浄水場は77年につくられ、こちらも旧市街地の一部へ1日5000tの飲料水を供給している。作成された実施計画による耐震二次診断によって、コンクリートの圧縮強度・中性化等の試験、建物の劣化状態などを把握することになりそうだ。
水道ビジョンの中にすでにある耐震計画では、水源施設の構造物や機械・電気施設を含めた耐震化、給水装置の耐震化、管路施工面の耐震化、管路システムの耐震化などが挙げられている。管路システムの耐震化は、バックアップ施設、ブロックシステム、ループシステムの整備。バルブを設置し問題発生時に操作することで影響の最小化を図る計画もある。