日本工業経済新聞社(茨城)
2013/01/18
【茨城】内閣府 つくば特区へ7・2億円 藻類バイオのプラント設置へ
内閣府は、つくば国際戦略総合特区への本年度第2回目の調整費として、8億4900万円の要望に対し、7億2251万8000円を内示した。内訳は、いずれも筑波大学への補助(国立大学法人運営費交付金)で、藻類バイオマス関連が4億1497万1000円、ナノテク拠点が2億2183万7000円、次世代がん治療(BNCT)関連が8571万円。そのうち藻類バイオマス関連では、プラント設置に向けた一般競争入札(物品等)を筑波大学が公告している。
つくば国際戦略総合特区は、研究機関の集積を生かし、BNCTや藻類バイオマス、生活支援ロボット、ナノテク拠点の構築といった4分野の研究開発で新産業創出を目指す構想。
県やつくば市、筑波大学らの要望に対し、国は昨年7月までにBNCTの装置開発費2億円を配分。そして今回、筑波大学への補助として藻類バイオマス、ナノテク拠点、BNCT関連の3分野に内示があった。
そのうち藻類バイオマスは、オイルを産生する藻類の性質を活かし、次世代エネルギーの創出を目指す。国費の全体要望額は6億8550万円。そのうち本年度分に4億2850万円を求めた結果、内閣府は調整費4億1497万1000円を国費として内示した。
本年度は、つくば市内の耕作放棄地2haで藻類バイオマスの屋外培養の研究開発に着手する。すでに一部の土地を確保した。そこにプラントを設置して実証する。成果があれば徐々に拡張して土地2haにまで拡げる方針。
現在、物品入札(藻類濃縮・乾燥システム一式、藻類生産システム一式)を官報へ告示している。納入期限はことし7月末。2015年度までに年間14tの藻類産生オイルを通じて、大規模実証に必要な技術的課題の解決を目指す。
そして15年度以降は、県内や被災自治体の耕作放棄地などを活用して大規模実証を通じて化石燃料のコストに見合う生産技術を確立し、実用化の目安となる年間1・4万tの藻類産生炭化水素の生産を目指す。
続いて、ナノテク拠点は、システムの中心となる(仮)つくばグローバル・イノベーション推進機構を物質・材料研究機構が本年度中に設置し、つくばの科学技術の集積を活用して新事業・新産業を創出できる新たな産学官連携システムを構築するもの。
その全体要望額は9億6150万円で、本年度分として3億2050万円を要望した結果、2億2183万7000円が内示された。主にシステム構築のための費用に充てられる。
BNCTは、課題解決型医療機器の開発・改良に向けて、拠点となる(仮)いばらき中性子最先端医療研究センターが本年度末完成をめどに2カ年で整備中。14年度までに中性子発生プラントや中性子計測装置などが開発される予定。
全体要望額3億円のうち本年度は1億円を要望し、8571万円が内示。この費用は治療装置の薬事業承認までの運用にかかる光熱費や人件費に充てられる。