国土交通省中部地方整備局は、直轄工事のうちPC橋で2013年度に予定している長期保証型契約方式の試行適用に向けて、学識経験者などで構成する「PC橋の長期保証に関する検討委員会」を設置し、9日に第1回の会合を開いた。長期保証型契約は、構造物の長期的な品質向上を目的に、整備後一定期間の性能保証を受注者に求める方式。委員会では、保証する期間や対象となる構造物の部位、評価手法などについて話し合う。施工者が保持する品質向上のノウハウをどのように設計に反映し、施工者の技術力を発揮できるようにするかも課題となりそうだ。委員会での議論は12年度末を目標にまとめて、PC橋で長期保証を適用する際の参考にする。
委員会では、長期保証の概念を説明する中で、PC橋の初期の劣化を確認するまでの期間について「構造物の完成後概ね3年程度まで」とする考えを提示した。期間の妥当性については、今後委員会で議論する。コンクリートの乾燥収縮によるひび割れなどを抑制し、一定の値以下にすることを確認することで、ひび割れに起因する長期的な構造物の劣化を抑えるとした。
今後の検討事項としては、保証する対象部位や期間、評価の手法・指標などを挙げた。また、コンクリートの打設のしやすさや充填(じゅうてん)のしやすさ、温度管理など、施工者のノウハウを反映し、PC橋の品質を向上させるための部分的な構造の変更(照査設計)なども課題となる。このほか、完成後の劣化状況の調査方法、劣化があった場合の回復方法なども検討していく方向。
これまでの知見では、PC橋の施工後初期に発生するひび割れなどの劣化により、水が浸透して長期的な強度の低下につながるとされている。長期保証を試行適用する際は、予想される交通量や積載重量、周辺環境なども加味した劣化の評価が必要になりそうだ。
長期保証型契約方式では、完成して一定期間が経った後の品質確認で所定の品質を満たしていなかった場合、受注者に違約金の徴収や回復措置の履行といったペナルティーを求める。12年度から、原則として全ての新設アスファルト舗装で適用している。
提供:建通新聞社