日本工業経済新聞社(茨城)
2013/01/11
【茨城】大洗町 復興構想案まとめる 道路整備や避難ビルなど
大洗町は、東日本大震災からの復興に向けた復興構想案をまとめ、このほどパブリックコメントを開始した。復興まちづくりのコンセプトは「防災・減災対策と新たな魅力づくりとを同時に図る復興まちづくりの総合的な推進」・「長期的な展望も視野に入れた持続可能な復興まちづくり」とし、先進的な取り組みを進めて大洗モデル≠構築していく。主なハード対策としては、避難路の新規整備や拡幅を行うことで安全かつ速やかな避難行動を確保するとともに、サインや誘導灯を整備して円滑な避難誘導を図る。また、大洗港付近で津波避難ビルの新規整備なども検討していく。このほか、築山やポケットパーク、自転車専用道の整備なども盛り込んでいる。
同町は、震災で最大波4・2mの津波を受けたが、津波による死者・行方不明者は出なかった。このため、引き続き人命を最優先とし、行政と町民、民間事業者、関係機関が協力しながら、犠牲者ゼロの災害に強い復興まちづくりを推進する。
基本目標は「だれもがいつでもどこでも安全・安心に過ごせるまち」・「豊富な地域資源やさまざまな交流による賑わいのある魅力的なまち」・「高齢社会や共生社会にも対応した町民の主体的参加による持続可能なまち」。
土地利用の方針としては、津波浸水想定区域で建物の耐震化・高層化などを誘導し、津波による人的災害を防止していく。また、高台の大貫台地区や二葉地区、前原地区では住環境を整備して移住促進を図り、成田地区では産業基盤の復興と再生、観光拠点施設の整備を図っていく。
都市機能の方針では、町震災復興計画(復興ビジョン)や津波浸水想定を踏まえ、災害拠点施設などを整備する。このうち消防第一分団は、磯浜地区に再配置して復興拠点とする。役場の防災機能は、バックアップとして高台に一部機能を移転する。候補地は旧水道事務所(第一中学校付近)や旧祝町小学校跡地(二葉地区)、災害活動拠点施設(磯浜)など。
ネットワーク道路については、国道51号を補完する道路や水戸南ICからの緊急輸送路、都市計画道路吉沼磯浜線、大洗海岸病院へのアクセス道路など、災害拠点施設や避難場所を結び、災害時に緊急輸送路となる道路網の整備を図る。
津波対策では、最大クラスの津波(L2)に対応するため、新たな避難場所や浸水区域内の緊急避難施設、各避難場所までの避難路・避難誘導サイン・避難誘導灯の整備などを共通するハード整備とする。
主なハード対策としては、北部地区(大洗海岸付近・大洗港付近・涸沼川沿岸)と南部地区(サンビーチ海岸周辺・南部海岸)に新たな避難所の必要性を示している。
北部地区では、宮下地区旅館街のビーチイン跡地に津波避難デッキなどの整備を検討するほか、大洗リゾートアウトレット周辺(第4ふ頭・第一駐車場など)には津波避難ビルの整備を検討。津波避難ビル(RC・SRC造を原則)は、津波の最大浸水深を考慮して安全性を確保できる高さに設定し、非常用電源や備蓄・資機材の倉庫なども整備する。
南部地区では、大貫台地区に新たな一時避難場所を整備するとともに、高台への避難路を拡幅整備する。さらに、サンビーチ海岸での築山、緩傾斜護岸、避難誘導路の整備についても検討する。
また、夏海地区や成田地区などを含めた各地区に、誘導サイン52カ所、避難誘導灯(ポール)678カ所、案内板39カ所の新設も検討する。
このほか、県道との交差点箇所への放送設備の配置や、県道2号線沿いの松林の保存、避難路における独立した歩道の確保、沿岸部を連続する自転車専用レーンの設置なども検討する。
パブリックコメントの募集期間は今月28日まで。案はホームページでダウンロードできるほか、町役場でも閲覧できる。意見は郵送、持参、ファクス、電子メールなどで受け付ける。
問い合わせはまちづくり推進課復興推進係(電話029―267―5111)。