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日本工業経済新聞社(茨城)
2013/01/08

【茨城】推進協 消防救急無線の共同整備 デジタル化へ協議進む

 県内41市町村23消防本部で構成される任意協議会「県消防救急無線・指令センター整備推進協議会」は、消防救急無線の共同整備(デジタル化)と消防指令業務の共同運用に向けた作業を進めている。これまでに電波伝搬調査を日本消防設備安全センター(東京都港区)へ委託しながら共同指令センターの候補地(水戸市役所内原庁舎)などを選定した。今春をめどに法定協議会を立ち上げた後、基本・実施設計を委託し、早ければ13年度末に消防救急無線の施設・設備工事と共同指令センターの整備工事を発注する。発注者は、各市町村の連名もしくは代表市町村となる予定。総事業費は約110億円。

 一方、共同整備への意向を保留、不参加としている団体(市町村)もあることから、県は参加を促すほか動向を踏まえ支援を検討する。
 この計画は、それぞれの消防本部が受けている119番通報を、共同指令センターを設けて一本化するもの。その際、従来の消防救急アナログ無線をデジタル無線に変える。その際、基地局や無線機器などの通信施設、設備を共同で整備する。また共同指令センターを共同で整備し消防指令業務の共同運用を図る。
 2003年の電波法関係審査基準の改正を受け、16年5月をめどとした消防救急無線のデジタル化が示された。県では、07年3月に「消防救急無線及び消防指令業務に係る整備計画」を策定し、県域1ブロックに無線システムと消防指令センターを設置して共同運用することを決めた。
 続いて11年8月には市町村長会議を開催し、「県消防救急無線・指令センター整備推進協議会」を設置。日立市、ひたちなか市、東海村を除く41市町村で構成され、県は生活環境部長が参与として参加。12年11月までに4回の協議会を開催。
 また11年11月から12年3月にかけて、消防救急デジタル無線電波伝搬調査を日本消防設備安全センターに委託し、基地局やシステムを決める基礎調査を実施。基地を建てた際、建屋だけでなく車両とも連絡できるかを調査し、数十カ所の基地局と共同指令センターの候補地を選定。
 この調査結果などをもとに、協議会で共同指令センターの設置候補地を水戸市内原町の水戸市役所内原庁舎とした。
 現在、共同整備への参加は、消防救急無線の整備運用のみが3団体(6市)、共同指令センターへの参加を保留しているのが2団体(4市)、どちらも参加するが16団体(25市町)、どちらも参加しないが4団体(10市町村)。
 県では、今後も保留としている団体には参加しない場合のデメリットと、参加した場合の具体的な効果について引き続き説明して参加を促す。また、今後の参加動向を勘案しながら県としての支援を検討する。
 なお消防救急無線の共同整備によって、消防救急車両が消防本部の管轄外に出動した場合でも自消防本部と通信が確保でき、広域的な災害でも消防救急活動が可能となるほか、防災ヘリやドクターヘリとの広域的な通信が可能となり迅速・的確に対応できる。
 また共同指令センターの共同運用によって病院情報や交通情報が共有され、搬送時間の短縮が図られるほか、竜巻など覚知困難な広域災害情報に対し迅速に的確な初動体制が構築できる。また機器の共同購入による単価の低減効果で整備費用の抑制が図られる。
 本年度は、整備費や維持管理費の負担割合、共同指令センターの位置を明確なものとするほか、地方自治法に基づく法定協議会を13年春ごろに設置する。法定協議会の設置後には、基本設計と実施設計を発注する。発注者は、各市町村の連名もしくは代表市町村となる予定。
 その後、消防救急無線の施設・設備工事と共同指令センターの整備工事を13年度末にも発注したい考え。工事も設計と同様、各市町村の連名か代表市町村の発注となる。本格的な工事は14・15年度で、習熟運用を行った後、16年度からデジタル方式へ完全移行を目指す。
 なお、共同指令センターの整備は、内原庁舎の耐震改修が大前提となる。水戸市では12月補正予算に実施設計費などを計上しており、早期に内原庁舎の耐震化を進める予定だ。