日本工業経済新聞社(茨城)
2012/12/29
【茨城】日野KD工場が稼働 県内経済10大ニュース
常陽地域研究センター(水戸市桜川)は、ことしの県内経済10大ニュースをまとめた。県や経済団体、国の出先機関、金融機関、企業からなる県経済検討会が20日に開かれ、その意見をもとに集約。ことしは、中国経済の減速や、地価21年連続の下落、つくば市北条地区の竜巻被害、そして今なお残る風評被害などが県内経済に影を落とした。その一方で、再生可能エネルギーへの注目や、V回復の工場立地、日野自動車KD(ノックダウン)部品工場の稼働などが明るい話題として入った。そのほか県内大手企業の再編の動きも話題となった。
県内経済10大ニュースの内容は次のとおり。
【県内企業に影響を与えた中国経済の減速】
中国経済の成長鈍化による建設機械の在庫調整は、県内輸出企業にマイナスの影響を及ぼした。また中国に進出した県内製造業の一部では、日中関係の悪化に伴い、現地での生産に影響が見られた企業もあった。
【つくば市北条地区で竜巻被害】
5月6日、歴史的な街並みで知られるつくば市北条地区に竜巻が発生し、大きな被害を及ぼした。中心部にある北条商店街をはじめ、歴史的建造物や観光案内所等を含めた建物1000棟以上が被害を受けた。
【なお残る風評被害払拭への取り組みが続く】
福島第一原発事故に伴う風評被害は、12年も県内産業に大きな影響を及ぼした。インターネットテレビ「いばキラTX」の開設や、JR水郡線での14年ぶりのSL運行など、事業者と行政が連携した風評被害払拭へのPR活動が続けられた。
【再生可能エネルギーへの注目が高まる】
福島第一原発事故や再生可能エネルギーの固定価格買取制度開始を受け、太陽光発電や風力発電などへの注目が集まった。神栖市では洋上風力発電の増設が進められ、つくば市では大規模太陽光発電施設が稼働を開始した。
【上半期の工場立地動向 X字回復し全国2位】
12年1〜6月の県内工場立地面積は64haで、震災によって大幅に落ち込んだ11年から急速に回復し、全国2位となった。特に県北地域は、茨城港日立港区のLNG基地建設などが影響し、立地面積が45・8haと他地域に比べて大きかった。
【3年目の茨城空港 那覇便が新規就航】
茨城空港は、定期便として従来のソウル、神戸、札幌便に加え、6月に上海便、7月に那覇便が就航となった。台湾やマカオへのチャーター便も運航され、更に利用客の増加が期待される。
【県内大手企業に再編の動き】
10月、住友金属工業と新日本製鐵が経営統合し、新日鐵住金が発足した。経営効率化や海外との競合激化に対応しようとする業界再編の動きが加速している。日立製作所は、13年のグループ企業統合、14年の三菱重工との火力発電事業統合を発表した。
【日野自動車KD(ノックダウン)部品工場が稼働】
日野自動車のKD部品工場が、5月に稼働を開始した。20年には全生産工程が古河市へ移転する予定で、周辺では不動産会社の土地取得の動きも見られた。関連企業の進出や従業員の移住、地元の雇用創出など、地域経済の活性化が期待される。
【県内基準地価は21年連続下落】
県内基準地価は住宅地、商業地とも前年を下回り、21年連続の下落となった。住宅地はつくば市のTX沿線の2地点のみが横這いとなり、残る598地点は下落した。震災の影響を強く受けた11年と比べ下落幅は縮小したものの、県内地価の下げ止まりの兆しは見られない。
【各復興支援制度や助成金による中小企業支援】
12年度の中小企業等グループ施設等災害復旧事業の資金交付は、県内33グループヘ決定した。また8月には中小企業経営力強化支援法案が施行となり、中小企業に対する支援制度が更に拡充された。