日本工業経済新聞社(群馬)
2012/12/26
【群馬】2カ年で「平成の大修理」−臨江閣別館
前橋市は、臨江閣別館の「平成の大修理」を計画しており、来年度は耐震診断や耐震設計および、改修にかかわる詳細設計の委託を検討している。設計の作成とともに概算事業費を算出し、2014年度に予算が確保できれば同年度から2カ年計画で改修工事に着手する予定。改修は、現在の形状を生かして補強補修を行っていく。市は未整備となっている冷暖房機の新設も計画しており、利用環境の向上にも配慮していく考え。
臨江閣別館の大修理は、来年度に耐震診断、耐震補強および改修工事の設計を委託し、診断結果を基に14年度から耐震補強工事、屋根の全面改修、冷暖房機の導入を行う計画。工事は一括発注する意向を示しているが、発注形態は定まっていない。工事期間は2年間で、債務負担行為を設定していくこととなりそう。工事期間中は同館の利用は停止し、利用団体へは他施設の活用を促していく。なお、市は11年度より臨江閣別館の全面的な改修を前提とした臨江閣整備活用検討委員会を発足し、利用しやすい環境整備や建物の魅力とその歴史に配慮した保存活用の手法をまとめている。
1910年(明治43年)の竣工以来、102年が経過している臨江閣別館。貴賓館として誕生したW造2階建て、延べ床面積1001・02uで、入母屋造り、桟瓦葺き、書院風建築の建物。1階には西洋室をはじめ日本間7室のほか、2階には舞台を備えた150畳(舞台含め180畳)の大広間がある。前橋市指定の重要文化財には86年6月に指定され、現在では多くの市民活動団体などが利用している。
同館では完成以来、部分補修のみの対応で、大規模な改修工事が行われれば今回が初めてとなる。近年は館内の雨漏りがひどく、大雨や台風時には雨水が廊下へ漏れてシートやバケツなどで応急処置を行っている状況。施設自体の老朽化が進行しているため、躯体への影響も懸念されているほか、備え付けの冷暖房機が無く、夏場は「暑い」冬場は「寒い」と利用者からも冷暖房機設置を求める声が挙がっている。
本館は1942年竣工したW造2階建て、延べ床面積477・59uで桟瓦葺き、数寄屋風建築。87年〜90年までの4年間で全面解体修理を行っている。市は本館への冷暖房機導入も検討しており、管理者である県と来年度に協議を行っていきたい考え。
なお、茶室の改修は予定していない。茶室は42年に竣工したW造平屋建て、延べ床面積64・65uの入母屋造り、桟瓦葺き。