静岡県は、沼川新放水路の建設で、有識者らで組織する委員会を設置し、河口部の最適な構造などを絞り込む方針。2013年2月にも委員会の初会合を開き、優先して施工する河口(駿河湾)側の延長約900bについて、JR東海道線や海岸堤防を適切・効果的に横断し、河口部の閉塞(へいそく)や海岸侵食への影響を抑える構造などの検討を始める考え。18日に開かれた県議会12月定例会で、多家一彦氏(自民改革会議)の質問に、長島郁夫交通基盤部長が答えた。
沼川新放水路の建設は県が12年度に新規事業化。高橋川から沼川を経て駿河湾(沼津市青野〜大塚)に至る延長約2300bが対象で、JR東海道線以北を開水路、JR東海道線以南をボックスカルバート(トンネル)で構築する計画。県では、JR東海道線以南の河口部側の延長約900bの事業効果が最も高いとして、優先して施工する。
この区間は、高さ5b、幅10b程度のボックスを横に二つ並べる形でトンネルを構築。関連設備として、吐口部や開口部(ゲート)、国道1号の橋梁化、分流施設などの整備を予定している。ただ、東海道線や海岸堤防を大規模な構造物がアンダーパスし、自然流下で洪水を駿河湾に放流するための技術的課題は多く、また、河口部の閉塞や海岸侵食に与える影響も懸念されている。
そこで、外部有識者による委員会を立ち上げ、ここで最適な構造や工法を検討することにした。
県では12年度、「防潮堤および放流口部検討業務」を建設技術研究所静岡事務所、「鉄道交差部の比較検討業務」をジェイアール東海コンサルタンツ静岡営業所、「沼川分合流部設計検討」を中央コンサルタンツ静岡事務所、「箱型管渠構造検討業務」をクレアリア静岡営業所、「開口部すり付け検討業務」をいであ静岡営業所(いずれも所在地は静岡市葵区)に委託。放水路のルートや構造などの検討を進めており、同委員会での検討結果をこれら設計・検討業務に反映していく。
事業費については、東海道線以北の開水路区間で約50億円、東海道線以南のボックスカルバート区間で約200億円と試算している。
(2012/12/21)
建通新聞社 静岡支社