日本工業経済新聞社(茨城)
2012/12/15
【茨城】県議会土木企業委 復興いばらきづくり県へ提言
県議会の土木企業委員会(伊沢勝徳委員長)は、大震災からの復興と防災・減災に向けたいばらきづくりに関する提言をまとめ、執行部へ提出した。公共事業が減らされる中、震災を踏まえ、広域インフラ整備や防災・減災への取り組みが重要であるとの認識のもと、災害に強い港づくり、高速道路の未接続区間の早期解消、アクセス道路の強化、長寿命化など維持管理の推進、津波対策、そして地元建設業者の育成を進めるよう提言。また、それらの実現に向けて必要な事業予算を確保するよう求めている。
本年度当初から進めてきた閉会中の委員会審査や参考人からの意見聴取、県内調査などをもとにまとめたもの。13日の土木企業委員会では、伊沢委員長が小野寺誠一土木部長と中島敏之企業局長へ、今後取り組むべき方策として提言書を提出。
伊沢委員長が「県民の命や暮らしを守るためご尽力を」と述べながら提言書を手渡すと、小野寺土木部長は提言の主旨を踏まえ「県民が安全安心に暮らせる災害に強い県土づくりを進めていきたい」と述べたほか、中島企業局長も「管路の耐震化対策などに計画的かつ迅速に取り組む」と述べ、両者それぞれが提言書を受け取った。
提言書では、まず災害に強い港づくりに触れ、耐震強化岸壁などの整備で各港の機能強化を図ることや、東京湾諸港が災害で使用不能となる事態に備えたバックアップ機能強化のための方策、本県沖合へのGPS波浪計の整備、防潮堤の整備など津波減災対策を促進すべきとした。
続いて港湾サービスの充実と地域の活性化に向け、常陸那珂港区の中央ふ頭、鹿島港の公共ふ頭を早期に整備し港湾機能の強化を図ること、港湾関連用地やふ頭用地の早期整備を図り、臨海部への企業誘致を促進することなどを盛りこんだ。
道路関連では、緊急輸送道路としての機能を確保するとともに、本県の復興やさらなる発展を支えるため、圏央道未接続区間(東北自動車道〜つくば中央IC、稲敷IC〜東関道水戸線)、および東関道水戸線の未接続区間(潮来IC〜茨城空港北IC)の早期開通を、国や東日本高速道路鰍ヨ強く働きかけていくことなどを要望。
また高速道路の整備効果を生かすため、ICへのアクセス道路を強化することや、水戸北スマートICのフルインター化の整備支援などを求めた。
そして、大震災を踏まえ策定した「復興みちづくりアクションプラン」に基づき、緊急輸送道路ネットワークを強化するよう述べている。
施設関連では、老朽化が進む橋梁、河川などの長寿命化対策の推進はもとより、橋梁、法面、トンネルの定期点検といった適切な維持管理に努めること。また、津波対策として、L1津波に対する海岸や河川河口部の堤防のかさ上げなどを緊急に実施することなどを盛りこんだ。
また企業局へは、水道事業の危機管理対策の強化を列挙。管路の耐震化、液状化対策、非常用自家発電設備の設置など、震災の教訓を生かした災害対策を要望。また、現在整備中の関城浄水場と水海道浄水場間の緊急連絡管などを早期に完成させることや、補修資材の備蓄に努めるよう求めた。
そして、災害発生時の応急復旧体制を確保するため、協力が不可欠となる地元建設業者の育成を提言。業者の技術力向上はもとより、災害対応や地元雇用などで入札参加資格の加点をさらに上げるなど、地域貢献度の高い地元建設業者を適切に評価する方策を講じるよう求めている。