北海道建設新聞社
2012/12/13
「夏場の工事量拡充を」−夏冬一体化道路維持除雪で本紙調査
夏場の工事量拡充を―。2011年度から10区に拡大した札幌市の夏冬一体化の道路維持除雪で、多くの企業は夏場の工事量拡充が必要と感じていることが、本紙アンケートで分かった。複数年契約の導入時期については「来年度から」を含む「数年以内」が38%に上った一方、「当分導入すべきでない」も24%と意見が割れている。除雪を継続的に担っていくためには、積算の改善や除雪企業に対する優遇措置拡充を求める声が多かった。
アンケートは道路維持除雪の現状と除雪事業に携わる業者の実態を把握するため、11月中旬から下旬にかけてFAXやメールで実施。札幌市内の除排雪業者219社にアンケート用紙を送付し、106社から回答を得た(回収率48.4%)。5区試行時の10年9月に実施した前回調査に比べ17社減少。マルチの代表企業は23地区中17社が含まれている。
回答によると、冬維持のみに従事した企業の割合は56社と全体の53.3%を占めた。このうち、今後に関する質問では「冬維持のみでよい」は37%、「夏維持も従事したい」が63%と、夏維持への参入希望を持っている。
除雪機械の効率化に関しては、82%が「ほとんど効率化できなかった」と回答。「一部で効率化が図れた」16%、「効率化できた」2%を合わせても、何らかの成果を得た企業は2割に満たなかった。
夏冬一体化に必要な取り組み(複数回答)では、夏場の工事量拡充に次いで、「積算の見直し」21.1%、「入札契約制度の改善」14.8%、「除排雪方法の見直し」12.4%、「重機をはじめ資機材の賃貸制度の充実」10.5%、「市民の苦情対策」9.6%などを求める声が多かった。
また、ダンプの確保見通しでは、半数強に上る58.3%が「すでに確保が難しく今シーズンの排雪作業に影響が出る」と不安感を募らせ、「今は大丈夫だが数年後には確保が難しくなる」を合わせると9割以上となった。
複数年契約の導入時期については「来年度から」が26%、「2―3年後」が11.5%で、「当分導入すべきではない」が24%、「どちらとも言えない」が38.5%。当面の仕事量を優先すべきと考える推進派と、まずは利益率低下の問題を解決してからとする慎重派とで判断が分かれている。
複数年導入に当たり懸念すること(複数回答)では、「未受注となった場合の不安」が42.3%と最も多く、次いで「企業の途中撤退などへの不安」が27.9%、「複数年契約でも適正な利益は確保できない」が24.3%となっている。
市の除雪業務の現状と今後については、「厳しいが何とか継続できる」と回答した企業が74.5%を占め、「継続が難しい」は21.7%、「近く撤退」はゼロで、経営努力を続けながら責任感で何とか踏みとどまっている状況がうかがえた。
ただ、オペレーターなど作業員教育の現状と今後について「当面は大丈夫」と答えたのは24.8%にとどまり、「近く困難な状況」63.8%、「すでに困難」11.4%と合わせると75.2%と7割を突破。前回調査時より10ポイントも増加し、担い手不足の問題はより深刻さを増している。
厳しさの原因について(複数回答)聞いてみると「除雪以外の工事での受注不振、採算性悪化」が22%と最多。総体的な工事量不足が各社の体力を奪っている。次いで「オペレーターなどの作業員確保」と「重機などの資機材の維持管理」がともに20.3%、「除雪業務の採算性悪化」は19.7%だった。
除雪に関連して、土木工事などで多いくじ引き入札の経営への影響では、65.3%が「非常に深刻」と答え、「深刻だが、除雪への影響は少ない」の28.7%と大きな差が開いた。くじ引き入札解消のための方策(複数回答)では「指名競争の復活」が25.4%、「より限定した地域要件」が24.9%、「公募型競争の導入」が21.2%、「未受注企業への優遇措置」が14%、「総合評価拡大」が9.8%となっている。